ポケストップと関連がある「Ingressのポータル」は誰が作ったのか

リアルポータル

【photo by Andron Rae

※最初に言っておくと、ここにあることはエージェントならば半ば常識なので目新しいものではありません。

ポケストップが、Ingressというゲームを基にしていることは周知の事実になりかけています。Ingressで設定されている「ポータル(Portal)」というものを、ポケストップやジムに置き換えたのがポケモンGoです。ポケモンGoとIngressを同時に起動してみれば、それらは同一のものだとわかります。

では、このポケストップ、もといポータルとは一体何なのでしょうか

ポータルを作ったのは誰か

申請のイベントフロー

ポータルは全てエージェントが自分勝手に申請したもの

平たく言えば、ポータルはIngressのユーザー(以下、エージェント)が申請して、Niantics社(以下、NIA)が独自の審査基準に基づいて設置したにすぎません。つまり、いま皆さんがみているポケストップやジムは、ほぼ全てがエージェントによって地道に登録された跡といえます。
なお、現在はIngressの側で新規のポータル申請は一切行えません。

Ingressでは、最初から世界中にポータルが存在しているわけではありませんでした。実はローソン等のスポンサーがつくまでは、ポータルは全てエージェントの手作業で申請されていました。βテスト時代からずっとです。NIAはそれを基にしてゲーム内にポータルを出現させるだけ。

Ingressの初期の頃を見せていただいたことがあるのですが、東京でさえポータルがまばらで、駅やその周辺にポツンポツンとあるくらいでした。ユーザー人口の増加とともに徐々にポータルは拡大し、ゲーム性をより複雑にしていったといえます。

【MMMMORPG】Ingress攻略(Wiki風味)【大規模社会実験】: ■ポータル申請【MMMMORPG】Ingress攻略(Wiki風味)【大規模社会実験】: ■ポータル申請
ここが詳しい

ポータルの申請に関してはdesireさんによる攻略サイトが最も詳しいでしょう。こちらをみれば、当時の申請の様子がなんとなくわかるかと思います。

ポータルとポケストップの違い

ポータルはポケストップとほぼイコールですが、「Ingressにおけるポータル」と「ポケモンGoにおけるポケストップ」は存在意義が異なります。個人的には、ポケストップがある理由があまり見いだせません。テスター時代に最も感じたのはここです。

Ingressではポータルの全てが重要な要素

Ingressが位置ゲーと呼ばれる理由の一つがポータルにあるのは過言ではないでしょう。ポータルがなければCFは作れず、ポータルの数や密度・緯度経度によって様々な戦略が生まれるのがIngressです。エージェントはポータルを増やすほどに自分たちの遊び場が拡大していくことを実感していきました。

都会と田舎で格差ができてしまうという欠点はありますが、他の土地にいこうとする価値観を創造している面もあります。土地が違えばポータルも違い、そこで遊んでいる人の種類も傾向も違います。ポータルはゲームの遊び道具であると同時に、ユーザーの行動を反映し行動を促進させる材料でもありました。

ポケストップは歩く要素ではあるが位置ゲーとしては必須要素ではない

一方、ポケモンGoではポケストップやジムの有無は必ずしも重要ではありません。Ingressのようにポータルの状態をシビアに管理することもなく、極端なことをいえばポケストップがなくともポケモン収集ゲームとして成り立ちます。

都会にポケストップが溢れているのはIngressのせいですが、実際には幾つかポケモンGoでは間引かれているものもあります。間引かれて分かるのですが、ポケモンGoではポケストップの存在意義はかなり無理矢理感があるのです。どうしてポケストップがあるのかがゲーム的に消化しきれていません。

ただし、ポケストップのようなものが存在するからこそ人は歩くのだと思います。100メートルに1本ポケストップがあれば、たとえソレが無意味でも人は歩きます。しかし10kmに1本だけだと人は行動を起こさないでしょう。車か自転車が必要ですから。

しかし位置ゲーとしてはどうも無理やりです。ポータルほどの情報密度ではなく、本当にスタンプラリーにしかなりません。実際、多くの人はポケモンの生息地に行くのであってポケストップやジムが目当てではありません。そこで滞留しやすく、Ingressのように動きまわる必要もないのです。

歩く要素としてのポケストップやジムですが、やはり位置ゲーの魅力の一つである「新しい場所に行く魅力」が欠け過ぎです。だから悪いというのではないのですが、それがないと続きにくいのも位置ゲーならではなのです。コレクションゲームだけでは他に目移りするでしょう。

ポータルは誰かの利権で作られているという誤解

はぁ?任天堂や地方自治体がポケストップを設定した?

上記のツイートが燃えていますね。どうやらポータル(ポケストップ)が特定地域に偏っていることから、ポケストップの配置は地方行政の関与があるのでは、と疑っているようです。まあ誤解ですが。それに加え、未だに任天堂がポケストップを設定したと思い込んでいる人が多数。まあマスコミなんですが。

先ほど申したとおり、ポータルの申請はエージェント個人が勝手に行っていただけです。そこに個人としての思惑はあったでしょうが、全体としてみれば大きな利権等は見られません。

例えば、京都は日本でも有数のポータル密集地です。これと任天堂の本社が京都にあることを無理やり関連付ける人がいるのですが、全然違います。京都にはポータルになりそうな名所やオブジェクトが多数存在しており、それらが申請されていたに過ぎません。

そもそもの誤解の元として、ポケモンGoは任天堂が作ったわけではなく、Ingress自体にも関与していません。関係しているのはポケモンGoだけであり、それも任天堂はポケモンという商標を提供して出資しているだけ。実際に作っているのはIngressの開発元であるNIAです。

そして、任天堂がポケモンGoに関わっているからといってポケストップまで任天堂に合わせたわけではありません。元々大量にポータルがあった土地にポケストップができただけのことです。

スポンサーポータルの存在

とはいえ、ユーザー申請とは異なる方法でポータルになったものはあります。ローソンやオートバックスのようにスポンサー企業になった場合には、その関連施設がポータルになったりします。ポケストップでもマクドナルドがありますね。

これは、Googleから独立したNIAの戦略なので特に問題があるわけではありません。逆に、元々ポータルがすくなった田舎では、ローソン等の既存施設がポータルになったことで嬉しい悲鳴があがったらしいです。

なぜ不自然なポータルがあるのか

だいたいNIAのせい

これも随分と曲解されているな、と思っています。結論をいえば、だいたいNIAのせいです(<=定型句)

ポータルはエージェントが勝手に申請してNIAが承認しているのですが、どうしても全てが精査されているわけではありません。というよりも、かなりいい加減です。

  • 交通案内の看板
  • 同じ公園の遊具が2つ以上のポータルになって重なっている(いわゆる双子ポータル)
  • 登録時のGPS情報が間違ったまま審査通過している

エージェントはそれぞれの思惑で尊く申請しているわけで、また全てが正しい情報を提供しているわけではありません。NIAの側からしても毎日のようにくるポータル申請(特に日本は多かったらしい)に四苦八苦していたらしく、説明文や写真や位置情報が多少おかしくても審査を通過していたものも多数あります。

ポータルの数は、iOSで申請を行えるようになった2014年中盤以降に一気に増えました。当初はiOSから行えなかったポータル申請もしばらくするとできるようになり、当然のごとくこれはポータルの新規申請手続きを増やした要因です。ポータルが増えても申請のための手順はそれほど変わらないため、やはりいい加減なポータルもたくさん生えました(意味不明なリジェクトも多数ありましたが)

ポータルのネタ化

特徴的なポータルはエージェントたちの玩具おもちゃになっていることもあります。ふざけた名前のポケストップが話題ですが、2年のブランクを経てエージェントたちのイタズラが表面化したわけですね。

ポータルの写真や名前、説明文はあとから変更が可能です。ポータル写真は、複数登録されていた場合に最も指示を集めたものがトップに表示される仕組みであるため、中には数十枚の写真が登録されているものも存在します。

画像だけでなく、史跡ポータルの中には詳細すぎる説明文を添える人もいます。特にミッションの過程になっているポータルではその傾向が顕著なので、たまに覗いてみるといいでしょう。

また、到達が難しいポータルを申請する風潮もあり、エージェントにとってポータルは一種の自己表現の場でもあるわけです。

ポータル申請も実績稼ぎだった

いい加減な名前のポータルに対してマスコミが「任天堂はどうしてこんな名前のポケストップを〜」というたびに変な笑いがこみ上げます。そんなの申請したエージェントが自分勝手につけただけですし、深い理由もなかったはずです。

今はもうありませんが、申請したポータルが新しく登録されると、そのエージェントは実績を得ることができました。古参の中にはその実績をもつ人も多数存在します。

もうわかると思いますが、実績稼ぎのために生えたと思われるクソポータルはたくさんあるのです。エージェントが全員が良識を持っているわけではありませんし、そんなバカみたいなポータルを許可したNIAもどうかと思います。

とはいえ、結局ポータルはエージェントにとって自分の遊び場を広げるためのものであったわけで、そこに大きな意味はありません。誰もが自分の身の回りにポータルを増やしたい一心だったのです。

ポータルが地域によって偏っている理由

ユーザー数でポータル密度はだいぶ変わる

Ingress(orポケモンGo)でよく言われるのが「田舎は別ゲー」。大都市と比べれば、田舎はポータルの数がそもそも少ないためポータル間の距離が都心部とは比較にならないほど広がっているケースが多々有ります。ポータル密度でゲーム性が変わるIngressにおいてこれはかなり致命的です。ポケモンGoでも問題になっていますね。

ポータルが少ない理由の一つがエージェント人口です。多くの人が申請すればそれだけたくさんのポータルが作られるきっかけとなります。Ingressの初期は特にポータルが地方に少なく、ハック等を行えずひたすらポータルを申請するしかなかった時期が存在したそうです。つまり申請が行えた時期にその地域でどれだけの人がアクティブであったかが現状に影響しているのです。

名所や史跡の多さ

しかし、京都などの史跡が大量にある場所ならばポータルになりやすいため、ポータル数がユーザー数に比例するとは必ずしも言えません。公園や駅がポータルになりやすいことは有名ですが、Ingressの設定的には歴史がある重要な建造物やモニュメントのほうがポータルとしてはふさわしいといえます。というわけで、京都などの古い建造物や歴史を感じさせるものが多い都市ほど、ポータルの申請ははかどりますし登録もされやすいのです。

逆に農村部だったりすると地蔵や古いポストなどくらいしかポータルになり得ない場合が多数。そういう場所ではたとえアクティブなユーザーがいてもかなり厳しいでしょう。その辺の岩がポータルになれば良いのですが。

また、NIAが意図的に密度をコントロールしている場合も存在します。地方によってはIngressのイベントが開かれる場合もあり、そのような地域では優先的にポータルが生えることもあります。他にもアクティブユーザー数に比例するという見方もあるようですが詳細は不明です。

ポータルの増減について

現在、ポータルの新規申請は完全停止中です。ただし、ポータルが増えないわけではありません。

ポータルの申請ができた時代にも、審査・登録までは数ヶ月以上もかかっていました。つまりそれだけ大量の申請が殺到していたということであり、現在かなりの数が保留となっているはずです。

最近はポータルが増えたという話をあまり聞かないですが、地域ごとにまとまって生えることもしばしばです。定期的に日本の何処かで新しいポータルができるかもしれません。

ポケストップの増加についても検討されているらしいので、それがIngress経由なのかは不明ですが、両方のゲームで再現されれば好都合でしょう。ただし、Ingressでさえポータル申請が殺到したわけですから、ポケモンGoのユーザーが登録するならばどのくらいの規模になるか想像もつきませんが。

まとめ

  • ポータルはIngressのエージェントたちによる手作業で追加されてきた
  • ポータル申請自体がエージェントの実績に反映されていた時代があり、ユーザーの人口増もあってクソポータルは量産されていった
  • 地域によって偏りがあるのはエージェントの数やNIAの都合が大きい

Ingeressについてまだよくわからないという方は例えば以下の様な記事を見るといいかもしれません。

【話題のサービス・アプリ】 楽しみ方が豊富で、実は奥深い位置情報ゲーム「Ingress」 – INTERNET Watch
ざっくりですがわかりやすい

ところで、自分もいくつかポータル申請が通って実際にポータルが生えているのですが、別にポケストップになっていても大して感慨はありません。まあ、自分の生やしたポータルがミニリュウの巣になっていたりしたら自慢しちゃうかもしれませんけどね!

なかった……