最近巷で「ポケモンGoのポケストップやジムが増えた」という声をちらほら聞きます。つい先日はセブンイレブンが提携しましたが、それ以外にも近所の神社等がポケストやジムになったケースは多々あると思います。
それ、実はIngressのポータル審査によるものです。
どういうことかというと、ポケモンGoと位置情報を一部共有しているIngressの方で新規のポータルが増え始めたからです。ポータルはユーザーによる申請が元でできることが殆どです。このポータル申請が数年前に全面停止し、かなりの数の未審査ポータルが保留のままになっていました。
それが最近になってIngressのAGに審査を請け負わせる「PortalRecon(ポータルレコン)」という仕組みをNianticが作ったため、ポータルおよびポケストップ・ジムの増加につながっているのです。
目次
PortalReconの仕組み
PortalReconができるのは、あくまでも他のユーザーが登録申請した過去のポータル候補の審査です。現在はレベル16・15のエージェントだけに案内が来ており、簡単なテストをパスした場合にのみ審査ができるようになります。
審査では、ユーザーが登録した画像・名前・位置情報・詳細記述(任意)を元に点数式で判断します。重複を絶対になくしつつ、ユニークで素晴らしいポータルを見つけることが最大の目的です。
今までに、延べ4万件あまりが審査されてきました。でもまだまだ全部の審査は終わらないでしょうね。
ポータルになれる基準
ポータルの申請に関してはNianticが公式に基準を示しています。
スポンサー以外のポケストップ・ジムは原則としてここから選定されています。ですから、ポケストップ・ジムもここに当てはまると考えて良いでしょう。
そもそもポータルとは何なのか
正直言うと、ポータルが何であるかはよくわかっていません。Ingress的に言うとXMが位相世界から流出した特異点、位置ゲーム的に言えば単なるランドマーク。個人によってポータルの概念は様々ですので、どれが正しいかを論じるのは不毛だと思います。
良いポータルの条件
Nianticは以下のように定めています。
- 安全にアクセスでき、目視できる距離まで近づける場所
- 興味深いエピソードがある場所や、歴史的または教育的に価値のある場所
- 興味深い芸術作品や他では見られない建築
- 秘宝やその地域ならではのスポット
- 公共図書館・公園・駅・礼拝堂等
とても曖昧ですが重要です。特に歴史・文化・宗教を感じるものは優先的にポータル化される傾向にあり、神社や公園はその代表格です。
公園1つとっても、看板や中にある遊具や銅像・時計まだ幅広くポータルになることがあります。それは全て申請した人のセンスによって決まります。街なかのポータルやポケストップの中には、かなり面白いものがたくさんあるはずです。
悪いポータルの条件
これら全部又は一部に抵触するものやその可能性のあるものは原則弾いています。
- 歩行者の安全性の確保ができない候補
- 地勢としての候補
- 1年のうち特定期間に限定される季節的な展示や永久的でない候補
- 私有地の居住用財産(牧場を含む)にある候補
- 消防署、警察等の業務に支障をきたすおそれがある候補
- 人体の一部や生き物は絶対に不可
- 小学校や中学校の敷地にある候補
実はこの基準に該当しないポータル候補がたくさんあります。それどころか、既存のポータルの中にも不適当なものゴロゴロ転がっているのが現状です。
候補の判断基準
PortalReconは同じポータルを複数の人物によって審査する仕組みを取り総合的に判断されています。人によって価値基準が様々なので私の考えが全てではありませんが、自分ならこう思うという事例を幾つか書いていきます。これが全部ではないですし、ケース・バイ・ケースです。
既存のポータルと重複したり別角度からとったものでないか
都心部でよくある「双子ポータル」「双子ポケストップ」は、何の因果か同じものを別々の人が登録申請して認証されたものです。
PoratalReconでは第一にこのような重複を確認し、重複している場合は却下します。そもそも、申請時に近くに似たようなポータルがないかを確認するという作業も必要です。たまに同じポータルを別角度から何回も撮って申請したり名前を変えている人がいますが、結構迷惑です。
別の人が申請していると、少し位置がずれた場所で同じ建物を撮っていることもしばしば。
ユニーク(単一)かどうか
必ずしも見た目が個性的かを意味しません。公園の看板等はどれも同じものばかりですが、それがその公園を的確に表しているものと判断すれば採用することもあります。
逆に、街なかの至る所に同じように置かれているものは不可としています。マンホールや消火栓、電柱ですね。固有の名前が無いものは特にそうです。踏切を申請する人がいますが、駄目です。
また、特徴的であっても「申請のためだけに置いたもの」のものは却下です。変わった形の置物や人形をポータル申請のために設置したと思われる画像が出てきますが、全部却下しています。以前からポータル申請のために灯籠を買うという動きがまことしやかに言われていましたが、Reconの側からは落とさざるを得ません。灯籠に夢を持っていた人は諦めてください。
看板や標識
ポータル候補で非常によく見かけるのが、看板。
その土地や建築物に関連したものでユニークであることを特に判断しています。例えば道路標識や注意書き程度ならば却下。せいぜい公園の案内図くらいだと思います。世の中にあまりに看板のポータルが多いので、厳しい目を向けています。
レストランの看板等は面白いものであったり歴史があると判断できないと却下しています。チェーン店の看板だと店名があっても不採用。標識に関しては「N合目」等ならば良いと思うのですが、単に距離を表しているのは保留か却下しています。
宗教的なもの
Ingressにおけるポータルは、宗教的なものとの結びつきが強いことでも知られています。神社仏閣や教会の多くはポータルとして認定されやすく、地蔵・十字架でも同様です。宗派はそれほど関係なく、いわゆる新興宗教の教会でもポータル化することはよくあります。
また、一部の墓地や霊園等もポータル化することもあるのですが、明らかな私人の墓石に関しては却下しています。例えばそれが歴史的な偉人の墓や記念碑であれば別ですが、単に変わった形の一般人の墓石を申請しても通すことはありません。やめましょう。
地勢
地勢というのは、山や河といった広い意味での自然物です。Ingressでは特に明確な定義をしているわけではないのですが、単純に「東京湾」などで申請されても絶対に許可しません。今のところそんなアホな申請はないですが。
また、島や巨大な岩に関してもどこにポータルを設置すればいいのか不明なのものは不可としています。
そういう場合には地勢を説明している看板等の方を優先しています。
安全に立ち入れない場所や物
「季節限定」「軍事施設」「危険地帯」「海のど真ん中」
色んな基準がありますが、原則として歩行者の安全性が確保できないものを弾いています。自動車や船でしか行けない場所にあるものは不可ということですね。40m半径にインレンジ出来るかどうかではなく、すぐそばに近づけるものでないと許可してません。
登山はどうなのか、観光地となっている場所ならばいいのか等の話もありますが、ケース・バイ・ケースすぎるのでここでは話すのは難しいです。そもそもそういう難しいものは判断保留にすることが多いですが。
私有地や民家や住宅地
Nianticの基準では私有地にあるものは原則として不可であるとしています。ゲームとしての有利不利は置いておいて、個人宅のものを何らかのランドマークにすることはいろいろな面で問題があります。といっても世の中には様々な自宅ポータルが存在しているのですが。
- 住宅そのもの
- 表札
- 玄関先の置物(手で持てるものから灯籠まで)
- 家財道具
- 風見鶏
- ステンドグラス
- 壁絵(シャッター絵や落書きを含む)
このようなものは受け付けません。ものによっては判断しづらいことも多々ありますが、個人宅だと判断したら即却下とします。
それが民宿だったりする場合には、歴史文化的に重要だと判断できる詳細文に限り認めたいと思います。
アニメコラボのシャッター絵はどうしよう?
季節限定・永久的でないもの
お祭りやイベントで展示されるオブジェ・建造物は却下しています。他に、冬季は立ち入りが規制されている場所にあるものや、普段から立ち入りが厳しく制限されているものも同様です。ただし人によって判断がわかれやすいものでもあります。
また移動が前提の自動車等はポータルにはできません。NLPrimeや掲示の夜のパワーキューブ等の例外もありますけど。
人体や動物
絶対に駄目な第一位。だめな理由を口にすることが馬鹿馬鹿しいですね。
自己紹介やペット自慢したいならばFαcebookでやりましょう。
かわいい猫はポータル以外で間に合っています。
消防や警察・軍事施設、小・中学校等
プレイヤーの安全性を確保できないこともそうですし、その場所での業務に支障がでてしまいます。
小中学校は駄目とNiaは言っていますが、幼稚園や保育所、児童養護施設も不可としています。幼稚園の壁はイラストがあってポータルとして見栄えがするのですが、子どもたちの安全性が確保できません。高校も微妙なので、解放されやすい大学を優先しています。
少し迷うのが病院です。その時はポータルから判断しています。病院も不可にしています。
ポータルを審査した人が実際に訪れて確認することもある
1度のポータルの審査には時間制限があります。なので実際に候補地を見に行って判断する余裕はありません。ですが、エージェントの中には審査後にその場所に実際に訪れて確認してみようという動きがあるようです。
他のゲーム等でも聖地巡礼が行われることがありますが、ゲーム的に何もない場所に行ってみようというのは位置情報ゲームであるIngressらしい現象ですね。
PortalReconをする理由
このPortalReconはポータルやポケストップを増やすことが目的に思えるかもしれませんが、特にそれを重点にはしていません。Recon自体が楽しいですし、Googleローカルガイドや4sqのスーパーユーザーのようなものと捉えているからです。
ポータルやポケストが増えようが、Ingressのユーザーが増えることはまず無いですし、ポケGoには殆ど影響らしいものはないでしょう。
ポータルというのは、日常の中に隠れたものを発見するという過程そのものに価値があります。一般的なランドマークは駅や商業施設といった誰でも認識できるものでしたが、ポータルはそういうのだけでなく路地裏の小さな祠等が非常に多いのが特徴です。こういったものを全世界規模で活用する動きは、少なくともIngressが初あるいは最初の成功だと思います。
それを支えてきたのはいうまでもなくエージェントのボランティアであって、世界規模で集まったこれらのビッグデータをIngressやポケモンGo程度に留めるのはもったいないのだと思っています。
Reconをしているのは、いずれこの努力がNianticを超えて様々なものに活用されたらいいな、と思っているからです。あと単純に楽しい。
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