ブラックボックス問題はともかく、ダイアログ・イン・ザ・ダークはオススメ

暗闇の中にいる女性

ブラックボックスなるイベントがあったようですが、残念ながらリアルタイムで追っていないのでイベント会場に足を運びもしませんでした。
聞くところによると、真っ暗闇の会場に入るカタチの体験型イベントらしいですが、これと似たようなイベントに10年ほど前に行ったことがあります。その時の記憶を頼りに簡単に書いておこうと思います。

Dialog in the Dark 真っ暗闇のエンターテイメント

TBSラジオ等が後援しているダイアログ・イン・ザ・ダークというイベントがあります。簡単に言うと、真っ暗闇の中で1時間以上滞在し、視覚に頼らない体験をしてみようというイベントです。ブラックボックスが具体的にどんなものなのか不明なので違いを明らかにできませんが、ダイアログ・イン・ザ・ダーク(以下、DID)は以下の特徴があります。

  • 厚労省が後援している
  • 10年以上の歴史があり頻繁にイベントを開催している
  • 企業の研修にも利用実績あり
  • 案内として視覚障害者の方が行っている
  • ただ歩き回るのではなく、暗闇を利用した体験をいくつもする

歴史がそこそこあるからといって安心ということは言えませんが、少なくともどこの誰ともわからない人による無計画なイベントではないことだけは確かです。

実際に体験したこと

もう10年も前なのでうろ覚えですが、当時の記憶を頼りに書いてみます。

そもそも、このイベントは有料予約制です。並べば入れるものではないですのでちゃんと事前に行ける日を見繕わないと厳しいです。そこはちょっとハードル高いですね。

私が体験したのは東京にある会場で、室内に用意された防音完全遮光の本当に真っ暗な世界に案内されるカタチです。
1人づつではなく、10名前後の人と同時に部屋に入って暗闇の中を散策するのが一般的なようです。今はどうなっているか不明ですが。

ロープと前後の人を頼りに部屋の中を進むわけですが、室内なのに川のせせらぎが聞こえたり、足元が不安定だったり、変な匂いや風を感じたりと環境因子をごそっと体験できます。

しかし、何より暗闇そのものが不安であったことが鮮明です。触覚・聴覚等を研ぎ澄ませて楽しむことが目的なのですが、そんなことよりも早くここから出たいという気持ちが身体の半歩前に飛び出てくる感覚をずっと味わっていました。同時に、なんでお金払ってこんな暗いだけの室内を歩かなければいけないのかという焦燥感もありました。光を閉ざされるだけで人は簡単に心が揺れるのですね。

光が完全にないだけでこんなにも人間は不安にさいなまれるのかと、入った直後から痛感。途中の休憩所では逆にそれまでの怖さを払拭しようとハイになってしまったほどです。

視覚障害者は暗闇の達人

DIDでは視覚障害者の方が案内をされるようですが、実はそれを知ったのは部屋からでた直後の話です。それまでずっと声をかけてくれていた頼りがいのある案内人の方が、陽の光のもとではアイマスクをかけた普通のおじさんであったことを知って驚いたことを記憶しています。

自分にとってあんなにも不安だらけだった暗闇が、全盲の方には日常だと気づいたのはあれが最初です。

会場内で何をするのか

たぶん会場そのものやイベントの趣旨によって異なるのでしょうが、自分の場合は真っ暗な部屋の中を散策するだけのものでした。ちょぼちょぼとしか歩かないので時間がかかったわりに殆ど歩いていませんが、1時間程度をかけて歩きます。

基本的に案内人の声や参加者同士の呼びかけくらいしか音は聞こえず、スピーカーからでる環境音によって自分が自然の中にいるかのような錯覚を体験したりします。また、確か何か不思議な形のものを手渡ししていた記憶もあります。それは会場外でネタバレするというものです。

他にも、休憩中に普段飲んでいるドリンクがどのくらい味が変化するのかといったことも体験しました。
とにかく、大勢で散歩するだけなのです。人によっては心地よいと感じることもあれば、普段よりせっかちで怒りっぽくなる人もいて中々ない体験でした。

自分はその1回しか体験していないのでなんとも言えませんが、何回か参加すれば別の感覚をあじわえるのもしれません。

暗闇体験イベントとしてDIDはいかが?

痴漢問題で良くない印象の暗闇イベントですが、実はお化け屋敷を含めてこういったイベントや施設は意外とあります。多くがアイマスクや暗幕で光を遮断して短いコースを歩くだけだったり、単に部屋を暗くして話すだけだったり。

その中で自分が体験したDIDは中々におすすめです。有料予約制というハードルと開催施設が東京・大阪くらいしかないという制約を超えれられれば、是非参加してみてください。

暗闇は恐怖ですし、何が起こるかわかりません。でもその暗闇に生きる人もいるってことを肌で感じられるDIDはかなり貴重な体験だったと思っています。

【参照】ダイアログ・イン・ザ・ダーク