《天声の服従》や《マインドクラッシュ》の効果でデッキや手札を公開すべきなのか

天声の服従やマイクラの効果で公開すべきなのか

天声の服従》の裁定が凄いと一部で話題です。

端的に言うと、このカードを発動したプレイヤーは相手のデッキを強制的に確認することはできず、相手プレイヤーも指定されたカードを公開する義務はないということです。これは《マインドクラッシュ》でも同じことがいえます。念のためメールと電話の双方で確認したので間違いありません。

そもそも、ルール上、対戦相手に対して必要以上に手札やデッキのカードを見せたり、確認させる必要はありません。(公開するかどうかは)ルール上としてではなく、対戦中における”マナー”に抵触しますので、何らかに明記されているものではありません。

私たちは「不発になるならばそれを示すために公開しなければいけない」というルールが存在するのだと思っていましたが、そもそもそのようなルール自体存在しないのです。あくまでも不正行為を予防するためのプレイヤー間の問題です。それはマナーであり、大会であれば大会規定に即した行いです。

では、服従やマイクラが産廃カードになったかというとそんなわけではありません。互いに了承しあって公開することを推奨しているだけであって、一方的に開示を求めたり、虚偽の申告を許す措置ではありません。重要なのは互いに納得すれば公開することはできるということです。

天声の服従
天声の服従

【通常魔法】
2000LPを払い、モンスターカード名を1つ宣言して発動できる。相手は自身のデッキを確認し、宣言されたモンスターがあった場合、その内の1体をお互いに確認し以下の効果から1つを選択して適用する。
●確認したカードを、このカードを発動したプレイヤーの手札に加える。
●確認したカードを、このカードを発動したプレイヤーのフィールドに召喚条件を無視して攻撃表示で特殊召喚する。

カード効果によって確認する必要がある場合を除いて、原則開示する必要はない

《天声の服従》を見た時に誰もが「相手のデッキにそのカードがないときはどうするのか」と思うでしょう。遊戯王wikiの《マインドクラッシュ》の項には以下の様なことが書かれています。

また、テキストにはないものの、発動したプレイヤーは、相手が全ての該当カードを捨てたか確認するため相手の手札を確認できるという裁定が出ているため、大きな情報アドバンテージを得るカードとしても使える。

遊戯王wiki-「マインドクラッシュ」

Q&Aにも「確認できる」とあります。これらから、多くのプレイヤーは相手の手札を確認してきました。実質上のピーピング効果を持っていたのです。

しかし、今回改めて《天声の服従》や《マインドクラッシュ》について事務局に聞いたところ、そもそもカードに確認する効果がないのならばデッキや手札を強制的に見ることはできない、と返されました。

では、プレイヤーAが服従またはマイクラを発動し、プレイヤーBがその効果で該当のカードがないと告げた場合を考えます。

  • AはBに対して、宣言したカードが存在しないことを証明してもらうために、デッキや手札の開示請求できる
  • Bはそれに応じることもできるが、応じないこともできる
  • カード効果を除き、デッキや手札の情報を相手に伝える・確認させる必要はルール上どこにもない
  • 開示すべきかどうかはその時の状況から判断し互いに合意を得る必要がある。もしも揉めたならば審判等が判断する

The suppression PLUTO

例えば《The suppression PLUTO》には相手の手札を全て確認しという記述があります。このような場合には相手は開示を拒むことはできず、手札を公開しなければいけません。ピーピングはカード効果だからです。

しかし、天声の服従にはピーピング効果がありません。つまりデッキの中を確認できるのは相手のみであることがわかります。そもそも、公式裁定にその旨が書かれています。

Question
自分が「天声の服従」を発動し、『相手は自身のデッキを確認し、宣言されたモンスターがあった場合、その内の1体をお互いに確認し以下の効果から1つを選択して適用する』処理が行われた場合、自分は相手のデッキの内容を確認する事はできますか?
Answer
「天声の服従」の効果処理によって、デッキの内容を確認するのは、「天声の服従」を発動したプレイヤーから見て相手となるプレイヤーのみです。(相手プレイヤーが自身のデッキを確認します。)

公式裁定

自分が行った処理が不発になる場合にはどうしたらいいのか

では、自分が発動した処理を行う直前の処理によってそれが不発になる場合、相手に開示する必要はあるでしょうか?これも事務局に聞きました。

例えば以下のような状況になった場合を考えます。

鳳翼の爆風

自分が《融合》を発動し、さらにチェーンして相手が《鳳翼の爆風》を発動した。相手は爆風の対象を自分フィールドの融合素材モンスターにしたとする。融合を処理するとき、自分の手札・フィールドのカードを合わせても融合召喚できるカードが存在しなかった。

融合を発動した時点ではどのカードを素材にしてどんなモンスターを出すかを自分は宣言することはありません。手札やセットされたカード・エクストラデッキは非公開ですから融合の発動時には相手はそれらを見ることもできません。

この場合、発動時に有効でも効果処理時に不発となるのですが、相手に手札・セットカード・エクストラを確認させる義務はありません。相手が本当に不発になるかどうかを確認したいと申し出た場合には、双方で話し合って決めなければいけません。

つまり、先ほどの《天声の服従》や《マインドクラッシュ》と同じ状況です。セットカード等の非公開情報を相手に見せる義務はありません。

嘘をついたり公開することを強要した場合には罰則が科せられることがある

天声の服従だけでは相手のデッキを確認することはできません。ですから、相手は宣言されたカードが存在しないと告げればそのまま処理を終えることもあります。

では、嘘の申告で逃れられるかというとそんなことはありません。プレイにおいて虚偽の申告をすることは罰則を科せられる対象となるからです。

場合にもよりますが、嘘の申告をした場合にはショップデュエル共通 – 大会罰則規定の中でも重い罰則を科せられてもおかしくありません。例えば、マイクラで宣言したカードが手札にあるにも関わらずそれを隠していたことが明らかになった場合、間違いなく「デュエルの敗北」以上の罰則を受けるでしょう。状況によっては審判でも判断つかないこともあるでしょうが、疑わしい行為をすべきではありません。

また、服従を発動した側も、みだりにデッキの公開を求めたり必要以上に疑う行為をしてはいけません。それは大会規定にある「フェアプレイ」を逸脱しているとみなされるため、こちらにも注意や警告を科せられることがあるのです。

大会でなくとも嘘の申告は互いの信頼関係を歪めるため、推奨すべきものではありません。

いつからこのような方針になったのか

全く不明です。しかし大昔は「半強制的に手札やデッキを公開していた」らしいとは聞きます。おそらく、「サーチ行為をした場合、カード効果に書かれていなくともデッキをシャッフルするかどうか」の判断を求められた当たりからこのような方針ができたのではと推測しています。

まとめ

自分も《天声の服従》で初めてこの話を聞きました。今までは必ず開示すべきと思っていましたが、義務ではなかったということです。しかし、義務ではないから不発にして逃げていいというわけではありません。また、開示を要求し続けて遅延させる行為が正当ということでもありません。繰り返しますが、開示するかどうかは双方の合意で決めるか審判が判断します。どのような結果になるかはその時の状況次第です。

  • 効果が不発になる場合、それを示すために手札等を公開する義務はなく自己申告となる
  • 同様に「確認する」「見せる」という記述のない効果も自己申告となる
  • 対戦相手は、公開してもらうようそのプレイヤーに求めることはできる
  • 双方の合意があれば公開することはできる
  • 現実的には不正防止のために公開しあうか、審判を呼ぶ
  • これらはルール上の取り決めではなくあくまでも対戦のマナーの範疇

なお、審判が判断する場合でも審判だけが手札やデッキを見るだけかもしれません。ルール上、みだりに非公開領域のカードを開示することはありませんので、相手に中身を見せるわけではないからです。