以前、遊戯王の「タイミングを逃す」とはどういう意味なのかという記事を書いたのですが、今読み返すとかなり乱雑でわかりにくい。書いた自分がそう思うのですから他の方はもっとそうなんだろうと思います。未熟ですね。
というわけで今回はもう少しちゃんと「タイミングを逃す」というルールの根本的なことを整理したいと思います。やや長文です。
とはいっても、これだけで全部は網羅できません。タイミングを逃す系の記事はあと10本くらい書かないと全容はつかめないでしょう。
なんで遊戯王には「タイミングを逃す」なんていう変なルールが存在するのか
タイミングを逃すというルールが加わったのは、《暗黒魔族ギルファー・デーモン》と《リーフ・フェアリー》による無限コンボが発端でした。これらに対する裁定がルール化して、任意効果の発動に制限が加わることになりました。これがタイミングを逃すというルールの最大要因です。なおそれらの歴史的経緯はここでは省きます。
タイミングを逃す要因
タイミングを逃す要因は大きく分けて以下の3つ。
- チェーン2以降で発動条件を満たした時
- カードのコスト、アドバンス召喚等のリリース、シンクロ素材等で墓地に送られた時
- 一連の効果の途中でその発動条件を満たした時
これらを1つずつ解いていきます。
そもそも「タイミングを逃さない」効果と「タイミングを逃す」効果の違いは何なのか
最も簡単な分類は以下のとおりです
- 「時の任意効果」はタイミングを逃すことがある
- 「強制効果」と「場合の任意効果」はタイミングを逃さない
時の任意効果
「時の任意効果」とは「(条件)の時、(処理)をできる」という効果のことです。これは発動する条件とタイミングが完全に一致していないと使えないことを意味しています。
遊戯王では、チェーン処理中等では原則発動ができません。よって、その中で条件を満たしたならばその処理後に発動できるのですが、「時の任意効果」は条件を満たした直後のタイミングにのみ発動機会を与えられます。つまり、ルール上発動できない時に条件を満たしてしまった状態をタイミングを逃すというのです。
強制効果や場合の任意効果にはそれがありません。ですから、ここでは「時の任意効果」に絞ってお話します。逆に言うと、時の任意効果でしかこの「タイミングを逃す」というルールは適用されません。
チェーン2以降で発動条件を満たした時
チェーン処理の仕組み
まず最も簡単な話として「チェーン処理のルール」をおさらいします。
チェーンブロックを積み終わって処理に入った場合には原則として新たなチェーンブロックを作れないという原則が一番大事です。
例えば、自分フィールド上に《強制脱出装置》と《マインドクラッシュ》がセットされています。この時、相手が《大嵐》を発動したとしましょう。相手フィールド上には《インフェルノイド・ネヘモス》1体が存在しています。
- チェーン1
- 大嵐
- チェーン2
- 強制脱出装置(対象:インフェルノイド・ネヘモス)
チェーン2で発動し終え互いになにもないならば、チェーン2の《強制脱出装置》の効果から処理します。
このとき、自分が《マインドクラッシュ》がセットされたままですが、それを《大嵐》の処理前に発動することはできません。一度チェーンブロックを積み上げならば、原則としてその処理中に新たなチェーンブロックを作ることはできません。ですから、脱出と大嵐の間でマイクラは発動ができないということです。
【参考】【図解】チェーンと逆順処理をよりわかりやすく | 遊戯王ハック
結果、《マインドクラッシュ》は発動することなく《大嵐》によって破壊されてしまいます。これはタイミングを逃すというルールではなく、遊戯王の普遍的なルールです。
チェーン2以降で発動条件を満たしてもその処理途中では発動ができない
チェーン処理途中に新たなチェーンブロックを作ることができない、ということは、それが誘発効果や一部の誘発即時効果にも当てはまることを意味します。
例えば、特殊召喚された時に発動できる任意の誘発効果を持つ《森羅の神芽スプラウト》を使って、以下のような処理を行ったとします。
- チェーン1
- 王宮のお触れ
- チェーン2
- リビングデッドの呼び声(対象:森羅の神芽スプラウト)
- 森羅の森羅の神芽スプラウト
- このカードが特殊召喚に成功した時、自分のデッキの上からカードを2枚までめくる事ができる。めくったカードの中に植物族モンスターがあった場合、それらのモンスターを全て墓地へ送る。(以下略)
この場合、《森羅の森羅の神芽スプラウト》の誘発効果を発動できるタイミングは、《リビングデッドの呼び声》による特殊召喚直後ということになります。しかし、チェーン1で発動した《王宮のお触れ》の処理は終わっていません。効果処理中であるため、スプラウトはその途中に割り込んで発動ができないわけです。
そしてスプラウトのような誘発効果はスペルスピード1ですから、起動効果や通常魔法同様にチェーン1でしか発動ができません。
誘発効果のスペルスピードは1である
パーフェクトルールブック
さらに、スプラウトの発動できるタイミングは、自身の特殊召喚直後のみです。それを過ぎてしまうと発動機会は与えられません。
つまり、スプラウトの発動条件が成立したタイミングではまだチェーン処理途中なので発動ができず、またお触れの処理が終わった直後のチェーン1にて発動したくてもその時にはこのカードが特殊召喚に成功した時」というタイミングを逃していることになります。
このように発動条件を満たした時と発動できるタイミングが一致していないので「タイミングを逃して発動できない」例となっています。よく「チェーン2以降で発動した誘発効果はタイミングを逃す」という表現を使われるパターンです。
また、誘発即時効果についても同様の話が可能です。もっとも有名なのは《青き眼の乙女》の対象になった時の効果でしょう。それについては下記を参照してください。
【参考】対象にしたのに《青き眼の乙女》がタイミングを逃すのはなぜ? | 遊戯王ハック
ここまでのまとめ
- チェーンの処理途中に新たなチェーンブロックを作ることはできない
- チェーンの処理途中に発動条件を満たした誘発効果があっても、それはその処理途中に効果を発動できない
- 効果処理中に発動のタイミングが訪れた任意の誘発効果は、その処理後であっても発動はできない。
コストやシンクロ素材で墓地に送られた時
次に少しややこしいコスト等によるタイミングを逃すパターンです。
発動コストで墓地に送られた時
例えば《人造人間-サイコ・リターナー》には、墓地に送られた時に発動できる任意の誘発効果があります。これはフィールド・手札・デッキ、どこから墓地に送られても発動できる効果です。
- 人造人間-サイコ・リターナー
- このカードは相手プレイヤーに直接攻撃できる。このカードが墓地へ送られた時、自分の墓地の「人造人間-サイコ・ショッカー」1体を選択して特殊召喚できる。この効果で特殊召喚した「人造人間-サイコ・ショッカー」は、自分のエンドフェイズ時に破壊される。
このカードを、《インフェルノイド・ネヘモス》の(2)の発動コストとして利用したとします。
- インフェルノイド・ネヘモス
- このカードは通常召喚できない。自分フィールドの全ての効果モンスターのレベル・ランクの合計が8以下の時、自分の手札・墓地から「インフェルノイド」モンスター3体を除外した場合のみ手札・墓地から特殊召喚できる。①:このカードが特殊召喚に成功した時に発動できる。このカード以外のフィールドのモンスターを全て破壊する。②:1ターンに1度、魔法・罠カードの効果が発動した時、自分フィールドのモンスター1体をリリースして発動できる。その発動を無効にし除外する。
例えば、相手のセイクリッドダイヤ強制脱出装置の発動を無効にする場合を考えます。
- チェーン1
- 強制脱出装置
- チェーン2
- インフェルノイド・ネヘモス(コスト:サイコリターナー)
このとき、サイコリターナーはその効果を発動できません。
サイコリターナーの発動条件は墓地に送られたことで満たしてます。しかし、誘発効果はさきほどもいった「スペルスピード1の効果であり、通常魔法や起動効果同様にチェーン1でしか発動できない」というルールがあるため、チェーン2以降での発動ができないのです。
この誘発効果を発動できるのは、自身が墓地に送られた直後にチェーン1で発動できるタイミングのみです。よって、ネヘモスのコストで墓地に送られた時には発動条件を満たしてはいるもののチェーン1ではないので発動できず、また、強脱の処理が終わった直後だと既に発動タイミングを過ぎてしまっています。
これもスプラウトの時と同様に、発動タイミングが完全に一致していないがためにタイミングを逃していることになります。発動タイミングが限られる任意の誘発効果ゆえです。
アドバンス召喚等のリリースでもタイミングを逃す
リターナーは、ネヘモスの発動コストではタイミングを逃します。ではアドバンス召喚によるリリースや、シンクロ召喚による特殊召喚時の素材になった場合にはどうなるかというと、こちらも任意の誘発効果故に発動できません。
たとえば、フィールドのリターナーをリリースして《ラブラドライドラゴン》をアドバンス召喚した場合、「リリース」=>「アドバンス召喚成功」と手順を踏みます。原則としてこれらは一連の処理にあたるため、誘発効果を発動できるのはアドバンス召喚が成功した時。しかし、リリースされて墓地に送られた直後しかリターナーの発動機会は与えられませんので、この場合もタイミングを逃します。
これはシンクロ召喚やその他のチェーンに乗らない召喚・特殊召喚によっても同様です。例えば《クイック・シンクロン》の特殊召喚の手札コストで墓地に送られても、発動はできません。
ここまでのまとめ
- 発動コストや召喚・特殊召喚の素材になった場合でも、任意の誘発効果はタイミングを逃す。
一連の効果処理途中で発動条件を満たした時
これもアドバンス召喚のリリースの時に近いものです。最もわかりやすいのは《融合》等による「融合召喚」を行う場合です。
融合召喚は効果によって素材を墓地に送ってから融合召喚する
融合召喚を行う際、魔法カードの発動時に素材を墓地に送るという勘違いをされることがよくありますが、実際には効果処理にあたります。
《融合》を発動した効果処理時には、その1つの処理の中で複数の段階を経て処理が行われます。
- 「素材を墓地に送る」
- 「融合モンスターをエクストラから融合召喚する」
(この記事も加筆修正必要ですね)
【参考】とりあえず覚えておきたい《超融合》で誤解されやすい6つのポイント
リターナーは(1)の処理によって墓地に送られた時に発動条件を満たします。しかし、そのタイミングではまだ《融合》の処理は終わっていません。ですから発動はできず、融合の処理が終わった時には「墓地に送られた」というタイミングではないためにタイミングを逃して発動ができなかった状態になります。
チェーン1の効果処理によって墓地に送られたのだから発動できそうですが、このように1つ効果の中に複数の段階に別れる物がある場合には、タイミングを逃す要因になります。
融合以外にも、《手札摩擦》の効果で捨てる場合にもタイミングを逃します。
まとめ
正直、かなり強引にまとめました。
「タイミングを逃す」は、遊戯王の歴史の中でも比較的古いのですが、実はその意味が独り歩きして不思議な解釈をされることが非常に多い単語でもあります。ここにあげているは本当に基礎的なことだけですし、強制効果等の処理も詳しく見ないと全容は把握できません。
ですから、それらについてももう一度熟考した上で記事にしたいと思います。
余談
更新頻度が最近低いのですが、できれば週一程度の割合で記事を書く予定です。それが遊戯王かイングレスかロードバイクなのかはわかりませんが。
その代わりにできるだけ精度の良い物を提供する予定です。
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