《竜血鬼ドラギュラス》の効果が強制脱出装置で発動しない理由を考察する

ドラギュラスが強脱で発動しない理由を考察

No.24 竜血鬼りゅうけつきドラギュラス》の裁定に関してちょっとした話題になっていたようなので便乗してみましょう。特殊裁定かといえばそうでもなく、ギリギリ納得できるのですが以前から気になっていることも付け加えてあります。

No.24 竜血鬼ドラギュラス
竜血鬼ドラギュラス
ランク6/闇属性/幻竜族/エクシーズ/攻2400/守2800
レベル6モンスターx2
(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、エクストラデッキから特殊召喚された表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを裏側守備表示にする。この効果は相手ターンでも発動できる。
(2):表側表示のこのカードが相手の効果でフィールドから離れた場合に発動できる。このカードを裏側守備表示で特殊召喚する。(3):このカードがリバースした場合に発動する。フィールドのカード1枚を選んで墓地へ送る。

色々なサイトで紹介されていますが、ランク6としては総じて使い勝手の良い効果です。相手モンスターを裏守備にすることもできる(1)の効果は(3)のリバース時効果と合わせることもでき非常に使い勝手が良いです。また(2)の効果があるため効果破壊をあまり恐れる必要がありません。一度出せばX素材を失っても機能し続ける点もあり、驚くほどスマートな動きをするカードだとわかります。

強脱でエクストラに戻ると効果を発動しない?

さて、問題は(2)の効果。相手効果でフィールドを離れると発動するこの効果は、墓地や除外ゾーンに送られても発動することができます。しかし、《強制脱出装置》でエクストラに戻ると発動できないという裁定が下されました。

Question
自分のモンスターゾーンに表側表示で存在する「No.24 竜血鬼ドラギュラス」が相手の「強制脱出装置」の効果によって、自分のエクストラデッキに戻りました。

この時、その「No.24 竜血鬼ドラギュラス」の『②:表側表示のこのカードが相手の効果でフィールドから離れた場合に発動できる。このカードを裏側守備表示で特殊召喚する』モンスター効果を発動する事はできますか?

Answer
「No.24 竜血鬼ドラギュラス」が相手の「強制脱出装置」の効果によって、自分のエクストラデッキに戻った際には、その「No.24 竜血鬼ドラギュラス」の『このカードを裏側守備表示で特殊召喚する』モンスター効果を発動する事はできません

公式裁定

ではその他のカードはどうなのでしょうか?

E・HERO アブソルートZero

Question
「E・HERO アブソルートZero」がフィールド上からエクストラデッキに戻る場合や、除外される場合、効果は発動しますか?
Answer
フィールド上から離れてエクストラデッキへ戻る場合、「E・HERO アブソルートZero」がエクストラデッキへ戻った後に、「E・HERO アブソルートZero」の効果が発動します

公式裁定

スターダスト・ウォリアー

Question
表側表示で存在する「スターダスト・ウォリアー」が相手の「強制脱出装置」の効果でエクストラデッキに戻る場合、効果を発動できますか?
Answer
「スターダスト・ウォリアー」の効果を発動する事ができます

公式裁定

これらは強制・任意を問わず、エクストラに裏側で送られても効果を発動できます。また、強脱だけでなく《クイーンマドルチェ・ティアラミス》のようなカードでも起こることを意味しています。類例が少なすぎるの厳密なことはいえませんが、少なくともドラギュラスは他のカードとは違う裁定をもらっているのは確かなようです。

原因は恐らく3つ

確実ではありませんがこのような裁定が出た原因は3つあると思われます。

  1. エクストラに送られた時点で「このカードを特殊召喚する」という条件を満たさなくなった
  2. 蘇生制限同様、エクストラから自身を特殊召喚する場合の制限が発生している
  3. 大人の事情

エクストラに送られたドラギュラスとそれ以外のドラギュラスの区別がつけられない

竜血鬼ドラギュラスの効果で特殊召喚するものと戻ったカードが同一かが証明できない

考察1

例えば、エクストラの中に2体以上のドラギュラスが存在しているとします。そうすると強脱の効果で戻ってきた「ドラギュラスA」と別の「ドラギュラスB」がエクストラで混在し、どちらが戻ったほうなのかが相手にわからなくなります。ドラギュラスはフィールドを離れた「このカード」を特殊召喚するため、非公開領域にて「このカード」というオブジェクトを明確に示せない以上は発動が不可能、というのが第一の理由。

つまり、発動したカードと同じであるという証明ができないことに起因します。なんとなくそれっぽいですね。

蘇生制限のようなものがあるのか

エクストラを使った自己再生だから蘇生制限を満たさない?

考察2

《涅槃の超魔導剣士》や《覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン》のようなカードにも蘇生制限のようなものが存在します。

正規の手順で特殊召喚されていないシンクロ(エクシーズ)/ペンデュラムモンスターがその後にエクストラデッキに表側で加わった場合、そのモンスターをペンデュラム召喚することはできない。

パーフェクトルールブック2016 [P.009]および[P.015]

ペンデュラム召喚するためには蘇生制限と同一の条件をクリアする必要があるようです。もしかしたら、ドラギュラスにもこれと似たルールが適用されている可能性があります。ペンデュラムと普通のエクシーズはそもそも扱いが異なりますが、これも一種の「自己再生効果」と考えれば納得です。

そもそもエクシーズを非正規の方法で特殊召喚する方法はいくらかあります。《エクシーズ・シフト》や《エクシーズ・ユニバース》がそれです。つまり、エクストラから非正規でエクシーズを呼ぶことを規制していないのならば、残るのは蘇生制限です。エクストラから特殊召喚を自己再生扱いとみなすためこのような結果になったと推測できます。

やっぱり大人の事情

やはりこれでしょう。蘇生制限はルールとしてはありますが公式用語は存在しません。コナミが有耶無耶にしているこれらのルールは、はっきり言えばコナミの都合でいくらでも改変されます。用語が明確に規定されていないならば事象として考えることができません。それが蘇生制限に当てはまるかどうかは全てコナミ次第です。

恐らく、ドラギュラスを作る際にエクストラに戻ることを想定し忘れていたのでしょう。差し替えが間に合わずバグを仕様にした、というのが真相だと考えられます。エラッタすればいい話ですが発売後のカードをエラッタするのに十分な理由とは果たしてなんでしょうか?

エクストラ等の非公開領域の考え方が不明瞭すぎる

そもそも、非公開領域であるはずのエクストラでモンスター効果が発動するのはなぜなのでしょうか?メインデッキや手札に送られたカードは原則発動しません。ただ、それにも過去の裁定で矛盾がたくさん発生している事実を見ればかなり怪しいのですが。

参考までに不思議な裁定を一つ紹介します。

話を戻します。エクストラ等の非公開領域で発動するカードとそうでないカードに差が生じるのは、はっきり言ってよろしくありません。「カードが違う」という幼稚な理由はもう使えないでしょう。本来ならば総合ルールによって細かく規定を設けるべきなのですが、そのあたりをコナミはサボりすぎです。

恐らく過去の裁定がアップデートされずに残っていることと、wikiが一部古いままであるためでしょう。明らかに矛盾した回答をもらうこともしばしばです。

コナミを彷徨う闇と光。その狭間に眠りし哀しきドラゴンたち。その力を集わせ真実の扉を開け

結局つまらない話になりました。これでは考察ともいえません。

もしもドラギュラスに「このカードがフィールド上で相手の効果で破壊された場合」という条件ならば、パーフェクトだったでしょう。しかし、配慮の足りない一文によってかなり煮え切らないカードとなってしまいました。本当にもったいない。しかし、それでも竜血鬼ドラギュラスには大変な魅力があります。専用の構築ができればとてもおもしろいデッキになるでしょう。イラストもいいですからね。