ポケモンGoは最高のマッピングツール

この記事はOSM Advent Calendar 2017の25日目の記事です。(書いておいてなんですが、色々あって未校了のものを公開してしまいました。)

クリぼっち

私、OSM(OpenStreetMap)を利用し始めて1ヶ月も経っていない完全な初心者です。経歴からわかる通りIngressエージェントで、スキャナがGoogleMapsからOSMに戻ったのを期にOSMそのものへの関心を深めました。

技術的なことは全く言えませんが、今回はOSMと世界最強のツールマッピングツールである「ポケモンGo」を手にしながらぶらぶらしてみましょう(CV:クサナギ)

6500万人の目

スキャナーは地図です。ゲームをしているつもりでも、実際はGoogleMapの代わりとしてスキャナーを使っている場面が多いと感じています。その地図がOSMに変更された直後は「GoogleMapにもどせー」と本気で思いました。ではOSMになってどうして不満を感じたのでしょうか?

私は車を運転します。当然カーナビの地図を見るのですが、それが必ずしも正確とは限りません。しかし、車で移動できるならば細かい道は意外と無視してしまえます。新規の道も通り過ぎるだけならさほど気にすることもありません。

一方、徒歩移動の場合には現実の道と地図との差をより明確に感じてしまうようです。登山や自転車に乘っている人には当たり前のことでしょうが、普段から何気なく見ている通り道をポケモンGoというゲームを通して散策し始めた人にとっては、違和感はとても衝撃的だったと思います。奇しくもGoogleMapという最強のインフラと比較してしまうため、OSMへの違和感はより大きいものでしょう。

この違和感はとても大事だと思います。なぜなら、OSMの編纂をしているときに大事なのは自分の見たものとの認識のズレだからです。荒い衛星画像からは判別できない細かい道や地形と差を、実地見聞で把握できるのはその場にいる人だけ。違和感があるから正しくしたい。願わくばそれがゲームの世界に反映されたらとてもうれしい。だからOSMに手を出しました。それは正解でした。

毎月、全世界で6500万人が利用しているポケモンGo。
単純にこれだけの人数がOSMの地図データを片手に街を散策していると考えられます。世界中で使われているOSMの中でも最大級の利用者ではないでしょうか?(それに次ぐのはGarmin?)

大事なのは、これが特別で高級なツールではなくポケモンGoという認知度の高いゲームであることです。気張ってみる必要はなく、ポケモン収集の傍らでなんとなく地図を見て現実と照らし合わせることが大事なのです。

現実・地図・ゲーム

IngressやポケモンGoをしていても、プレイヤーが現実の街や山林を歩かないとゲームは進まず、画面に表示される情報の大半が地図データ。それらはお互いにゆるくつながっています。
現実でポータル候補を見つければポータル申請をし、それがゲーム上でポータルやポケストップになり、それらを求めて人々が地図を片手に集まってくるのです。今はさらにこのサイクルにストリートビューやOSMの編纂が含まれます。

世界樹のようなマッピングゲームと異なり、常に変化する現実が地図やゲームを書き換え、ゲームの要素が現実にしみだしてくることもあるのです。

土地を探す・発見するきっかけ

OSMを編纂していて感じることは、自分がいかにその場所の地理に無頓着であるか、ということです。地元の地図を眺めている際、それが正しいのか間違っているのかを明確に判断できることは、決して多くありません。

OSMは疑わしい著作物の解釈で遊ぶ場ではありません。店舗の住所にしてもそこのレシートを基にするなどを推奨しています。「whiter than white(白よりも白く。純粋で誠実)」をモットーにしているため、結局自分の脚と目で確認したモノ以外を参照することはできません。

最近のIngress活動の多くはポータル申請に重きをおいています。新規ポータルは見知らぬ土地にしか生えません。通ったことのない路地やいつもは気にしなかった建物の裏手等を意識にするようになります。またポータル審査ではストリートビューの活用が一般的なので、候補の周囲はもとより近くのストリートビューの入っていない場所にも足を運び、結局申請そっちのけでストビューを撮っていたりするのです。
今はさらにOSMのために細かい地形データを取ることまで始めています。それらはポータルという形になる時もあれば、OSMに書き加えられ、いずれスキャナーに反映されるかもしれません。

ひとつのゲームが土地自体への興味をわかせるキッカケになったことは、自分自身でとても驚いていることです。昔は旅行が嫌いでした。でも今は一人でどこかに行ってみたい気分です。

ただの公園にしても、ポータル候補はあるのか、ストリートビューはどこまで入っているのか、スキャナーの地図はどれくらいずれているのか、公園として登録されているのか、ポータルの説明文に不足はないだろうか、などゲームを通して土地やそこの歴史・地形等にまで関心を寄せることができるのです。

もう、リンクを張ったりポケモン捕まえたりしている暇がありませんね。でもとても充実しています

外に出て地図を見ることの意味

3年半前から始めたIngressですが、当時から不思議なCFを作ったり仲間と協力して作戦を行うことがとても楽しいと感じていました。しかし最近では大きなアノマリーを中心に活動することが主流となり、。普段の活動がおろそかになっていたのです。それに、大規模な作戦はスキャナー以外の面が大事になってきて、ますます外に出る機会を殺してしまいます。外に出るゲームが内に閉じ込める要因になっていたのです。

ただ、これはポータル申請の解禁やOSMの採用で行動が変わったと感じます。以前のような精力的なものではないものの、外に出る機会を増やす要因になったことは確実なのです。

外に出ればすぐにポケモントレーナーを見つけることができます。エージェントは数も少なく動きが激しいので捕捉しにくいですが、トレーナーは同じ所にだいたいいるわけですからね。

最近はポータル申請がポケストに反映される率も高まっているため、トレーナーに声をかけてどこに申請ポイントがあるかなどをヒアリング調査もしています。これも、同じ地図データとポータルネットワークを共有しているからでしょう。

ポケモンGoは世界中で知られている、同じ位置情報や地図データを共有できるゲームです。徐々にポケモントレーナーの間でもOSMの編纂が浸透してきているようです。いずれ私達の地図がIngressやポケモンGoに反映されれば、別の意味での感動があるはずです。

ポケモンGoやIngressは、地図を見ながら街を散策するツールとして高いポテンシャルを秘めています。なにせ、ポータルは自分たちで作ることができ、OSM自体もユーザーによって管理されています。ゲームの世界をリアルと交えながら自分たちで作り上げていけるのです。そしてそのゲームの中で遊べるとは贅沢ですね。

そういう意味で、ポケモンGoやIngressは、地図そのものへの関心を高める最高のマッピングツールであるとも思っているのです。