《増殖するG》を発動したターンに《高等紋章術》を発動した場合の処理

《増殖するG》を発動したターンに《高等紋章術》を発動した場合の処理

遊戯王OCG検定受けた方々、いかがでしたでしょうか?全問正解しましたか?

さて、今回の検定問題の中で難しいという意見のあった「増殖するGの効果適用中に高等紋章術を発動したら何枚ドローできるか?」という問題について少し解説したいと思います。問題はこんな感じです。

問題
自分フィールドに《便乗》が表側表示で存在し、相手が《増殖するG》の効果を発動・適用しているターン。自分が《高等紋章術》の効果で《紋章獣レオ》と《紋章獣アバコーンウェイ》を特殊召喚し、さらにその2体をエクシーズ素材にして《No.8紋章王ゲノム・ヘリター》を特殊召喚した。このとき、正しい処理が行われている説明はどれか?

増殖するGの適用中に高等紋章術を発動したときのドローするタイミング

増殖するGが高等紋章術でドローするタイミング

この問題の要点は、増殖するGの効果で相手がドローするタイミングは高等紋章術の効果処理直後と、エクシーズ召喚した直後の2回だということです。

答え
《高等紋章術》の効果で《紋章獣レオ》と《紋章獣アバコーンウェイ》を特殊召喚した直後に《増殖するG》の効果で1枚ドローし、それによって自分も《便乗》の効果で2枚ドロー。さらにその処理の直後に《No.8紋章王ゲノム・ヘリター》をエクシーズ召喚したことで相手が《増殖するG》の効果で1枚ドロー。それによって自分も《便乗》の効果で2枚ドロー。

結果的に相手が2枚ドローして自分は4枚ドローします。しかし、ドローするタイミングが問題です。他の設問には「高等紋章術の効果が完了した際にはドローせず、ただちにエクシーズ召喚が行われる」ともっともらしいことが書かれていますね。引っかかった人も多いのではないでしょうか?(最初自分も引っかかりました)

では解説をしていきます。なお、便乗については割愛します。

高等紋章術とRUMの違い

高等紋章術/Advanced Heraldry Art
高等紋章術
【通常魔法】自分の墓地の「紋章獣」と名のついたモンスター2体を選択して発動できる。選択したモンスター2体を特殊召喚し、その2体のみを素材としてエクシーズモンスター1体をエクシーズ召喚する。
RUM-ラプターズ・フォース/Rank-Up-Magic Raptor’s Force
RUM-ラプターズ・フォース
【速攻魔法】(1):自分フィールドの「RR」Xモンスターが破壊され墓地へ送られたターン、自分の墓地の「RR」Xモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚し、そのモンスターよりランクが1つ高い「RR」モンスター1体を、対象のモンスターの上に重ねてX召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。

エクシーズ召喚を行うか、エクシーズ召喚扱いの特殊召喚をするのか

互いにエクシーズモンスターを正規のエクシーズ召喚で呼び出すカードですが、仕組みが違います。《高等紋章術》によるエクシーズ召喚はカード効果によるものではなく、逆にラプターズ・フォースはカード効果による特殊召喚になります。

どういうことかというと、《高等紋章術》や《緊急同調/Urgent Tuning》によるエクシーズ・シンクロ召喚はそれらのカード効果の処理後に発生しているのです。実は《高等紋章術》の効果とは「2体の紋章獣を特殊召喚し、その直後にエクシーズ召喚を行う権利を行使する」というものです。よって、《高等紋章術》の効果は2体の紋章獣の特殊召喚までであり、その後に発生するエクシーズ召喚はそれによって得た権利を使ったチェーンに乗らない特殊召喚なのです。《血の代償》と同じ考え方です。

対して、ラプターズ・フォースや七皇の剣による「エクシーズ召喚扱いの特殊召喚」とは「カード効果によってモンスターを特殊召喚すること」を指します。そしてその特殊召喚はエクシーズ召喚にも該当することを付与しているのです。ですから、カード効果はモンスターをエクシーズ召喚扱いの特殊召喚までとなります。

ここにあるように、《緊急同調》はあくまでもシンクロ召喚を行う権利を作っているだけです。ですからこのシンクロ召喚を《神の宣告》で無効にすることが可能になります。《高等紋章術》による2体の紋章獣の特殊召喚自体を《神の宣告》で無効にできませんが、その直後のエクシーズ召喚を行う場合にはそれを無効にできます。

「高等紋章術」の効果によって、墓地からモンスター2体が特殊召喚される際に、「神の宣告」等を発動する事はできません。

また、「高等紋章術」の効果によって特殊召喚された2体のモンスターをエクシーズ素材としてエクシーズ召喚を行う際に、「神の宣告」や「神の警告」等を発動し、そのエクシーズ召喚を無効にする事はできます。
その場合、「高等紋章術」の発動にチェーンするのではなく、「高等紋章術」をチェーン1とする一連のチェーン処理が終了した直後に行われるエクシーズ召喚に対して発動する事になります。
(エクシーズ召喚に対して、「神の宣告」等がチェーン1として新たに発動される事になります。)

公式裁定

増殖するGのドローするタイミング

若干脱線しましたが《増殖するG》でドローするタイミングについて補足します。《増殖するG》でドローできるタイミングは以下の2つ。

  • モンスターがフィールド上に特殊召喚され、その特殊召喚が完了した時点
  • 特殊召喚を含む魔法・罠・効果モンスターの効果処理にてモンスターを特殊召喚する場合はその効果処理が終了した時点

《高等紋章術》を発動した場合、「1.墓地の紋章獣を特殊召喚する」「2.エクシーズ召喚をする」の2つが発生します。《高等紋章術》による効果処理は墓地からの特殊召喚までなのでここで効果は終了。相手は《増殖するG》で1枚ドローします。そして、そのドローが終わると次にエクシーズ召喚を行い、更に相手はもう1枚ドローします。

では《RUM-ラプターズ・フォース》だとどうなるでしょうか?

《RUM-ラプターズ・フォース》は1つカード効果の中で2回の特殊召喚を行っています。「1.墓地からRRを特殊召喚する」「2.RRに重ねてX召喚扱いの特殊召喚をする」の2つです。これらはカード処理として連続したひと続きになっているため、2つの間で増殖するGの効果を適用することはしません。《RUM-ラプターズ・フォース》の処理が終わるのはX召喚扱いの特殊召喚直後であり、このとき自分は2回特殊召喚をしているため、相手は2枚ドローします。

わかりますか?2枚のカードによって《増殖するG》は2枚ドローしていますが、それぞれのドローの仕方が全然違います。

2体の同時特殊召喚でも「1度の特殊召喚」と扱うので1枚しかドローできない

上記にもありますが、複数体の特殊召喚を行ってもそれらが同時に特殊召喚される場合には「1度の特殊召喚」と考えます。

つまり、ペンデュラム召喚でしても増殖するGでドローできるのは1枚だけということです。1体のP召喚でも5体のP召喚でもそれは変わりません。

《高等紋章術》で2体の紋章獣を墓地から特殊召喚しましたが、それらは同時処理なので1度の特殊召喚です。結果、相手は1枚しかドローできないことになります。

まとめ

  • 《増殖するG》はカード効果の特殊召喚が発生したカード効果の処理直後と、モンスターの特殊召喚直後のどちらかドローする
  • 《高等紋章術》はカード効果として2体のモンスターを同時に特殊召喚し、さらに直後にエクシーズ召喚を行う権利を作っているため、《増殖するG》はそれぞれの処理後に1枚づつドローする。
  • 複数体の特殊召喚でもそれが同時ならば、1度の特殊召喚と数える

結果的にドローする枚数があっていればいいじゃないか、と思うのですが【エクゾディア】だと本体や手足をドローしたタイミングがいつなのかによって勝敗が別れることがあります。互いに揉めないように細かいですがこういうことは覚えておいて損はないでしょう。