この記事はIngress & Wayfarer Advent Calendar 2020の18日目の記事です。
いきなり余談ですが、かなり久々にこのブログに入りました。WordPressの勉強はしていませんし、そもそも遊戯王ハックといいつつほぼ遊戯王からは足を洗っている状態。Ingressの話題にシフトしてちょっと続いたものの、最近はログインすらしない。このブログの存在意義ってどこにあるんでしょうね?まあそれを決めるのは自分なのでこれからも年1程度で更新していく予定です。
Google+を書こうと思った経緯
Ingressの話題ではありますが、正直どの方面を切り取っても炎上する可能性があって厳しい。Wayfarerについて真面目に解説すれば灼熱の砂漠で鳥葬を受けるでしょうし、Primeや新機能を語ろうとすればそれはそれで氷山に貼り付けにされること間違いなし。古参らしく思い出を語ると老害と認定されて肥溜め行き決定です。
ただ、現時点でIngressを実際にプレイして楽しんでいる人は大勢いるわけで、中でも初心者の人達にはとことん楽しんでほしいわけです。変にあーしろこーするなと口を挟むのは野暮というもので、ならば老害と言われてなんぼと腹をくくり昔のGoogle+についてちょっとだけ話しておきます。
なんでGoogle+かっていえば、このSNSはIngressを語る上でなくてはならないキーだからです。Google+の終了はIngressという文化を一度死に追いやっています。まるでかつてのジオシティーズのように。そして多くの人がGoogle+に関する記憶を失っている昨今、少しでも思い出しておこうかなってことで書き起こします。かなり曖昧な記憶に基づくので、そこはご容赦ください。
Google+とは
Google+、通称「ググタス」は、Googleがかつて運営していたSNSです。Facebookを高機能にしたようなものですが、様々な理由で2019年4月に終了しています。現在はCurrentというサービスでエンタープライズ向けにリメイクされていますが、こちらは全く評判を聞きません。
ググタスと聞いた一般の人にとってはAKB48とのコラボが有名ではないでしょうか?それ以外にもYoutubeとの連携で是非をうんだことも有名です。そしてIngressのエージェントにとってはなくてはならないサービスでした。
どれだけIngress界隈で浸透していたかというと、例えばAdventCalenderにおいてGoogle+の投稿機能を利用したものが多数存在するくらいにはメジャーな存在でした。最近はnoteがこの位置に落ち着いていますが、逆にnote以前のエージェントはGoogle+がブログでした。
Ingressにおけるググタスの利用方法は多彩で、IngressのSitrep(作戦の報告書)、各種イベントの通知、コミュニティの管理ツール等が主でした。さらに各種のGoogleサービスとの親和性も高かったため、Google+はHubのような役割を担っていたんです。
さらにTwitterやFacebookほどに一般には浸透していないという側面から、外部からの炎上がまず起こらず、一般人がある程度排除された環境下だったのも要因です。Ingressの開発元のNianticもググタスがIngressにおける重要な場であるという認識を強く持っていたようです。結果的にググタスはGoogleが作った高機能SNSであるにも関わらず、Ingressのエージェントという極めてニッチな人々に大々的に使われるという珍しいものでした。
Google+の機能
ググタスはFacebookの対抗として作られたという経緯なのか、初期のUIはFacebookらしいものでした。長文投稿や共有はもちろん存在し、そしていくつか重要な機能がありました。
- サークル
- イベント
- コミュニティ
- コレクション
サークル機能
ググタスができた当時からあり、とても先進的と話題だったのがサークル機能です。これはTwitterでいうフォロワー機能に該当します。ググタスではフォローする人を自分のサークルにいれることでフォローした扱いになります。ではTwitterやFacebookとどう違うのかというと、サークルは一人の人物にいくらでもつけられる点です。
前提として、ググタスの投稿は基本的に一般投稿、つまり誰でも見られる仕様です。これはググタスを利用していない人でも閲覧が可能です。しかしこれをフォロワーへの限定投稿にすることも可能です。Facebookでいえば「友達だけ限定して投稿」というものです。ググタスはさらに細かく公開先を選ぶことができます。
例えばAさんという人物をフォローする際、「釣り」「自転車」「同級生」というサークルをつくってAさんをその3つと紐付けることが可能です。あなたが釣りに関する投稿をしたいと思った場合、「釣り」というフォロワーにだけ限定投稿を行うことが可能です。仮にBさんという人物を「自転車」「会社仲間」というサークルに入れておくと、「釣り」というサークル限定投稿はBさんには見られることはありません。
Ingressでは陣営や地域ごとのコソコソ話がよくおこるため、こういった投稿先を限定する機能は非常に有用です。
また、私自身は限定投稿に活用するというよりも人物へのタグ付という意味合いが強かったです。例えばIngress的には「レジスタンス」「エンライテンド」というサークルを作っておけば、誰がどの陣営かを把握するのにも役に立ちます。その人が自分にとってどういう人物かを端的にタグで表示するのは便利でした。
イベント機能
過去に存在し、いつのまにか廃止されてしまったのがイベント機能です。これは各種イベントを開催するときにフォローワーに通知するのにとても重宝しました。例えば金曜日の18時に札幌駅前でFFを開催する、という場合にこのイベント機能を使います。
ミニイベントを開催するための告知方法には様々なものがありますが、ググタスの中だけで完結し、フォロワーを直接選択して呼べるという点でとんでもなく重宝します。イベントページを見れば、どこで何時に誰が参加するのかを一発でみることができ、不要になればさっと消せるという気軽さも備わっています。
これがなくなったことで各種FFの通知が面倒になったのはいうまでもありません。
コミュニティ
サークルやイベントより硬い機能がコミュニティです。ようはFacebookにおけるグループと同等。単一のテーマに関して情報共有する場であり、各種作戦やMD等のイベント用告知ページとしても活用されました。
また、ポケモンGoのテスターコミュニティにも使われていましたね(暴れてごめんさない)
コレクション
コレクションは、自身の投稿をカテゴリー分けする機能。さきほどのサークルはフォロワーという人物へのタグ付でしたが、自分の公開する投稿を分類する目的で使うのがコレクションです。ようはブログにおけるカテゴリー。自身のブログを持っていない人にとってはブログと同等の使い勝手になりますし、ブックマークとして使うこともできます。
このコレクションにもサークルを適用することができるため、例えば自分専用のコレクションを作ってメモ帳代わりにするという使い方だって可能です。
また、コレクション単位でのフォローも可能なのがとてもユニークでした。例えばCさんという人が「イラスト」「将棋」という2つのコレクションで投稿を行っていた場合、Cさんのイラストだけ興味ある人はCさんのイラストというコレクションのみをフォローすることが可能です。これによってCさんが投稿したイラストコレクションだけが自分のTLに流れるわけです。
Cさん個人をフォローするのではなく、コレクション単位で管理できるというのは斬新だったと思います。
エージェントにそこまで受け入れられたのか
よくある傾向として、趣味や仕事の場ではコミュニケーションツールを環境に応じて分けることがあります。会社ではE-mail、家族間ではLINE、ご近所同士では回覧板、アニメはTwitter、同級生とはFacebook。ゲーム一つごとにツールが異なることもあります。DiscordだったりTelegramだったり。
ググタスはなぜかエージェントの代表的なコミュニケーションツールでしたが、その理由は主に「1: 旧スキャナーと紐付けされていた」「2: ググタスの機能がエージェントの活動にマッチした」「3: マイナーなSNS故の村社会的空気感」「4: Googleアカウントがあれば誰でも利用できる敷居の低さ」だと思います。
1に、旧スキャナーではググタスがデフォルトのSNSとなっていたので、Ingressからググタスを知った人は多いハズ。自然と「エージェントのコミュニティ=ググタス」という流れが生まれたことでしょう。
2に、上で話したググタスの基本機能もエージェントとの相性が良かった。宿命的に緑か青に分かれるため、誰がどの陣営なのかを把握して情報を共有する必要に迫られます。サークル機能はそういうのにとても役に立つ。
3に、FacebookやTwitterといったSNSよりマイナーなことが功を奏しました。Ingressはかなりアングラなゲームであり、実社会との地続きです。Facebookのような実名主義とは相性が悪く、かといってTwitterのようにオープンな場には似つかわしくないセンシティブな話が多い。結果、2ch的なバランスのググタスがちょうどよかったんですかね。
4に、Googleのアカウントがあれば世界中の誰でも使えたのが大きいかと思います。世界中の人との密な連携が重要なIngressでは、世界的にデファクトスタンダードなものを利用する傾向があります。Ingressをしているのならば自動的にGoogleアカウントを使っている(当時は)ことになり、ググタスにアクセスする敷居が低いのも影響したでしょう。
良い意味で、ググタスがマイナーなSNSにとどまったのはエージェントにとって幸運でした。機能的にはFacebookを上回っていましたし、余計な広告やいいねの忖度もない。最初こそ実名主義だったググタスですが、Ingressが普及しだした2014年の7月に実名使用ポリシーを廃止しています。これによって堂々とエージェントネームを名のれるようになったのが受け入れに拍車をかけたと思われます。
ググタスの発言は基本パンコ(一般公開)なのに、マイナーなSNSだからTwitterのように世間一般に向けて拡散されることもなく、はてなブックマークに補足される率も低かったと思います。検索避けをする必要もないくらいに。もちろんググタスはIngressの専用コミュニティというわけでもなく、Redditのようにそういうスレッドがあるわけでもありません。でも世間的にはTwitterで済ますこともエージェントはググタスで発信して、エージェント以外はそこまでググタスに多くの関心を寄せませんでした。
そうしてエージェントの密度が上がったことで、Nianticからもググタスがエージェントの居住区だと認定されたようです。各種のイベント告知やコミュニティもググタスに積極的にあげられていました。単なるGoogleのSNSサービスがエージェントだらけになるのはさほど不思議なことではないと思います。
エージェントというマイナー種族とググタスの相性は本当に良かったのです。
Google+の終焉
そんなググタスですが、ユーザー数の伸び悩みとセキュリティの問題から閉鎖してしまいました。最後は半年も前倒しされての閉鎖です。あっけなかったですね。実はググタスの世界ベースの月間アクティブユーザー数は3億人と、Facebookの22億人より低いとはいえ、世界的に見ると当時のSNSの中では5本の指に入る人気度だったそうです。マイナーマイナーいう割に頑張っていたのですね。
Ingerssの歴史は失われた歴史でもあります。その中でもググタスの消失はかなり大きなウェイトを占めていたはずです。なぜならIngressの全盛期はまさにググタスと共に有り、ググタスだけにストックされていた情報も膨大だったからです。Ingress関連以外でも使いようがあったググタスを、はてなブックマークのように使っていた自分もまたその被害を蒙りました。
ググタスはもともと、OrkutというGoogleが運用していたSNSの代替品として登場しました。OrkutはFacebookにその座を奪われはしたものの、ブラジル等では第一位のSNSとして人気を博していた時代があったそうです。ググタスもまた、エージェントという特異な民族にのみ大人気だったのは皮肉なダーとおもいます。
ググタスに依存していたのはNianticも同じです。というよりNianticはエージェントにコミュニティの運営を丸投げする傾向にあり、ググタスを使っていたのもユーザーコミュニティの充実度からでしょう。だからNianticは閉鎖が決まってから慌てて自社SNSを作ることにしました。もちろんググタスには機能的にも使い勝手でも遠く及びません。
ググタスの後継は様々な形で模索され、ググタスライクなSNSを作ったり、Redditに集約しようとしたり、Meweという似た機能のSNSに移行したりと試みられました。結果、エージェントの多くはググタスの終焉とともに離散し、HOやSlackやTelegramといったチャットツールのみでのコミュニティや、Twitter等に分散していきました。最も多いのがそのままフェードアウトした形でしょうか。
なんだかんだいって、ゲーム一つをまるごと抱えられたSNSとしてググタスは優秀で愛されていました。もちろん不満がなかったわけではありません。UIが頻繁に変わったり、ポリシー違反だといって不思議な理由で削除される投稿もありました。サークル機能が悪用されるという例があったり。
一時は「エージェントはGoogle+にばっかり生息して、主要なSNSであるTwitterでの発信・拡散がないから新人が来ない」なんて言われていたのも懐かしい。
Currentなんてググラビリティの低い名前にされてしまって本当に不憫です。再びGoogle+には復活してほしい。
Googleが落ちてたから昨日Google+も見れなかったんだな。でもまだGoogle+だけが見れないな、なんでだろ
— 山本紗江 Sae Yamamoto (@sae_catfreak) December 15, 2020
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