この記事は「みんなのマジック:ザ・ギャザリング Advent Calendar 2024」の19日目です
19日に投稿する予定が20日になっていますが、仕事始めるまでは昨日だとブラック企業に教わりましたよね?
ちなみにマジック関連ではありますが、マジックと遊戯王が半々程度の内容です
目次
総合ルールと裁定
皆さんはマジックと遊戯王をルールの側面から考えたことはありますか?
私はあります
どちらも複雑なルールを持ちますが、大きくとらえると総合ルールか裁定型ルールかの違いがあります
この記事ではそれぞれの特徴をかいつまんでお話ししようと思います
総合ルールと裁定って何が違うのか
総合ルールとはカードゲームのルールを体系化・文章化したものです
基本的なルールをより詳細にして、ゲーム全体に関してもれなく記載しています
その内容は、ゲームの考え方に始まり、各種用語の説明や継続的効果などの複雑なルールを書いています
総合ルールはマジックにおける法律のようなものであり、その目的はカードの処理に関して一義的な結果をもたらせるようにすることにあります
理想論ではありますが、総合ルールを理解すればそのゲームを円滑に進めることができます
一方の遊戯王は基本的なルールと裁定の2本柱で成り立っています
マジックと少し違うのは、裁定の根拠となる総合ルールのような詳細なルールを持たないことです
プレイヤーからすれば事務局の裁定を逆算し、同様の裁定を確認し、類似例からカードの処理を理解する必要があります
私はこのようなルール体系を裁定型ルールと呼んでいます
遊戯王は古くから基本的なルールやテキスト面があまり整備されていませんでした
そのため事務局に聞いた裁定が遊戯王wikiやエキスパートルールHP等を通じて蓄積し、いつしか遊戯王のルール=裁定という文化が根付きました
公式においてもいつの間にかQ&Aをまとめており、近年の裁定の充実ぶりはあの遊戯王wikiを唸らせるほどです
総合ルールは論理的に理由を説明してくれますが具体的な結果は教えてくれません
また、たびたび直感に反するような結果になることがあります
裁定型ルールは具体的な結果を先に押してくれますが、理由は教えてくれないか後付けとなっています
そして、論理的ではなくとも直感を優先していることが多いのです
一般的には詳細なルールがあってこそ裁定が発生すると思いますが、遊戯王は後述する理由で少し特殊な事情があります
なお、ニワカ知識ですが、法律の用語を用いると総合ルールは成文法主義、裁定型ルールは判例法主義といえるかもしれません
どちらが良いかは時と場合に寄ります(タイミングは逃しません)
パーフェクトルールブックとの違い
遊戯王勢にとって総合ルールというのはあまりピンとくるものではありません
パーフェクトルールブックと同じような存在に感じているかもしれませんが、それとは似て非なるものです
一番大きな違いは公開方法
マジックを含めてあらゆるカードゲームは総合ルールを原則無料で公開しています
これは総合ルール自体がゲーム全体の基盤となるルールであり、プレイヤーが自身の考えと手で動かすカードゲームにおいては、ルールが公開されていなければ遊ぶことができないからです
パーフェクトルールブックはあくまでも書籍であり、一般に公開されているものではありません
また、その性質上常に最新情報を提示しているわけではありませんよね
総合ルールは多くの場合、新しいカードや新しいルールが追加されるたびに更新され、多くのプレイヤーの目に留まるようになっています
2番目として、総合ルールは原則各項目にナンバリングがされており、それらが系統建てて書かれています
よくある法律の文面と同じです
一方のパーフェクトルールは章ごとに分けられてはいるものの、基本は箇条書きとなっており、項目ごとの関連性も示されていません
格式の違いとでもいいますか
パーフェクトルールブックは読みやすいですが、やはりルールの寄せ集め感が強くでてしまっています
また、ゲームの考え方があるかどうかの違いがあります
では実際に総合ルールを読んでみましょう
総合ルールを読んでみよう
https://mtg-jp.com/gameplay/rules/docs/0006836
マジックの総合ルールには冒頭から強い言葉が書いてあります
この文書は、マジック:ザ・ギャザリングの競技的ゲームプレイにおける最高権威である。この文章は、章立てられたルールと、用語集からなっている。ルールの多くは細分化され、それぞれのルールとサブルールには番号が振られている。
競技的プレイにおける最高権威というだいぶ仰々しい言い方ですね
実際にこのルールは競技シーンでは絶対の拘束力を持ちます
遊戯王でこのような文章は見たことがありません
マジックの黄金律
読み進めるとゲームの考え方として、有名なマジックの黄金律が書かれています
101.1. カードの文章がルールに直接矛盾しているときは、カードの記述が優先される。カードはその特定の状況に適用されるルールだけを無視する。このルールの唯一の例外として、プレイヤーはいつでも投了することができる
これ以外にもありますが長いので要約します
- カードはルールに勝つ
- 「できない」は「できる」に勝つ
- 一部が実行不可能な場合はその部分を無視する
- APNAP順ルール
これらの黄金律は実は多くのカードゲームにおける総合ルールにも似た形で記載されています
カードはルールに勝つ
1番目のカードはルールに勝つという考え方
これは現実世界では矛盾しているのが分かります
最高権威と銘打ったルールが自身を否定する存在を許しているのですから
これはカードゲームという性質を体現した文章だと思います
カードゲームは全てのルールがルールブックに記載されてその通りに動くようなものではありません
例えば将棋の駒が将棋にはないオリジナルの技や効果を持つなんてことはないでしょう
道交法を破って時速300キロまで出せる標識は作れませんし、それ自体が無効になるでしょう
しかしカードはそれ自体がルールに反する効果を持つことがあります
例えばこの「不死者、ミー」は自身に乗っているカウンターをなんと墓地や追放領域にまで持ち越すことができます
あらゆるカードゲームはその領域から離れると、その領域で置かれていたカウンターは取り除かれるというルールが存在します
マジックも例外ではありませんが、このカードはその例外を効果として持っています
マジックはこのようにルールと効果が明確に矛盾する場合でも、効果を優先するというつくりになっています
当たり前のように感じますが、決しておろそかにはできない基本ルールです
実はこのルール、遊戯王のパーフェクトルールブックにも同様の記述があります
しかし項目としては、カード効果の章にちょこっと載っているだけです
それも後ろの方にあるため、他の総合ルールとは考え方に差があるのが分かります
一部が実行不可能ならその部分を無視する
マジックと遊戯王で最も異なるゲームの考え方をするのが、この部分です
例えばマジックには「逸失への恐怖」というカードがあります
このカードは出たときに手札を捨てて、1枚ドローするという能力です
ではこのカードが出たときに手札がない場合はどうするのか?
遊戯王では手札を捨てるという行為ができないことから、恐らくドローできないという裁定になるはずです
しかしこのカードは手札が0枚ならなにも捨てずに1枚だけドローするという処理になります
このテキストがもしも「手札を1枚捨ててもよい。そうしたなら、カードを1枚引く」だと、手札を捨てられなければドローもできないことがわかります
でも逸失への恐怖は
カード1枚を捨て、その後カード1枚を引く
というもの
つまりカードを捨てなくともカードを引く処理には影響がないことがわかります
この考えは一見すると直感に反しているようですし、遊戯王を長くプレイしている人にとっては違和感が強いでしょう
でも逆にこの黄金律をきちんと理解していれば、テキストを素直に解釈して実行することに躊躇がいらないのがわかります
もちろんこのルールだけで全てを解釈はできませんが、少なくともルールにおける柱であり、文章化してあることに大きな意味があります
逆に遊戯王はこのあたりの思想が不明瞭なことは有名です
総合ルールのメリット
ここまでで総合ルールにはどんなメリットがあるのかと考えたのですが、明確なルールが存在することによるゲーム全体の安心感、という点が大きいかと思います
ルールを参照しさえすれば明確に書いてあるため、誰にとっても結果が1つになるわけです
逆にそれ以外のメリットは何なのかはよくわかりません
どちらかというゲームにおいてあって当然なものなので、あることのメリットが何かはちょっと言語化しにくいのです
だって、道交法があると良いことってあんまり実感として思いつきませんよね?
ただ、現存する殆どのカードゲームはこの総合ルールを取り入れていることから、事実上のデファクトスタンダードになっているのは確かです
ここ10年ほどで作られたカードゲームは基本的に最初から総合ルールを取り入れており、あって当然なんですよね
なんでそうなったかはここでは文字数が足りないので省略します
総合ルールのデメリット
逆にデメリットは何かというと結構あります
抽象的で、文字数も多く、殆どのプレイヤーにとってはあまり意味をなさないことです
誰も読んでいない
最も重要なルールであるにもかかわらず、殆どのプレイヤーは読んだことすらないと思います
大半が攻略サイトや公式のQ&AやYoutubeに頼っていて、総合ルールを読むことはまずないでしょう
それは単純に読みづらく、とっつきにくいからだと思われます
大半の総合ルールは画像が少な目で文章がやたら固いため、文字として認識する程度で終わって誰も重要視していません
文字数
文字数もかなり関係しているでしょう
- ワンピース:27,900文字
- ビルディバイド:60,500文字
- デュエマ:67,000文字
- マジック:489,000文字(文庫本でいうとホライゾン並み)
(当社調べ)
は??
マジックだけ異様なんですがそれ以外もまあまあの文字数を誇ります
新参のワンピですら2万文字を超えているわけです
しかも殆どのテキストは抽象的なので、習熟したプレイヤー以外は読む気にすらならないでしょう
直感的でない
そして次に総合ルール自体は結果を示してくれないことです
各種裁定は総合ルールに即したものになっており、どの総合ルールを引用しているが多くのQ&Aに掲載されています
しかし逆に言えばそういった裁定や攻略記事がなければ総合ルール自体はあまり仕事をしません
殆どのプレイヤーにとって、カードの処理は理由ではなく結果だけを知りたいのです
また、その処理内容が必ずしも直感に即したものになっているとは限らないのもデメリットに感じる点です
総合ルールはカードゲームにもよりますが、論理的で一義的な結果を出してくれますが、その処理が人間にとって扱いやすいとは限らないのです
さきほどの逸失への恐怖のように、一般人にとってカードを捨てることがドローする条件のように映る効果も、総合ルールありきでみれば必ずワンドローできる効果となります
このように直感を逸脱することになっても、総合ルールをきちんと読み込めない限りは納得感が生まれづらいのです
専門用語だらけのテキスト
遊戯王のテキストは冗長と言われることもありますが、これはルールがわからない人でも理解できるように書かれているからです
しかしマジックなどのテキストは結構専門用語が多いとわかります
特にキーワード能力や能力語といったものが典型例です
これらは単純なものならば簡単に理解できますが、例えば続唱や探検といったキーワード能力はテキスト欄に説明がなかったり、処理が省かれていたりします
他のカードゲームもそのゲームでしか使わない専門用語がびっしり書いてるものも見かけます(Vividzとか)
テキストが簡潔になって読みやすい反面、専門用語だらけなので総合ルールや他のwikiがなければそもそも読むこと自体ができないケースもあります
複雑化しすぎることによって解釈がぶれる
総合ルールには一義的な結果が定まるというメリットがあります。しかしそれは総合ルールが理解しやすい場合です
実際には総合ルールは肥大化し続けており、複雑化の一途をたどっており、それを解釈する人や実装するゲームによって結果が違う可能性は否定できません
裁定型ルールのメリット
では遊戯王の話になります
遊戯王勢の多くが何らかのルールを語る際は「裁定」という言葉を使います
これは基本ルールが薄いために実質的にルールに相当するものが裁定であることに他なりません
普通の感覚では詳細なルールが開示されていないのに、裁定だけが先行していることはあまり良い状況ではないように見えます
詳細なルールがブラックボックスだからです
では遊戯王の裁定型ルールのメリットとは何でしょうか
明瞭でわかりやすい
遊戯王がどんなにルールがややこしいと言われ続けていても、プレイヤーがほぼルールを理解して動かせているのは、裁定のわかりやすさにあると言えます
公式裁定はQ&A方式ですが、端的で読みやすく、直感的な書き方をしています
また、公式ではないながらも遊戯王wikiは日本一の攻略情報サイトです
これらは攻略サイトとしての側面もそうですが、実は読み物としても大変優れています
これに加え、昨今の遊戯王のテキストは大変読みやすいと評判ですよね
ようするにユーザビリティが優れているのです
マジックなどは総合ルールありきでテキストが作られているため、キーワード能力や能力語といったものが大変多いことで有名です
これらも総合ルールなどで十分に説明があるのですが、わざわざ総合ルールを読みに行くことはほとんどないと思います
だったら読みやすい質問集などにみんな注目しますよね
普通の人は結果を知りたいため、わかりやすく書いてあって読み応えのある裁定は多くの人に便利に映ることでしょう
裁定が豊富がアクセスがしやすい
遊戯王が裁定型ルールとして成立している一番の理由はその膨大な裁定の数にあると思っています
公式のQ&Aだけでも14,000件以上の項目をもち、これらが毎週更新・新規登録されているのです
ルールは生き物なので常に最新の情報が必要ですし、関連する項目が増えれば増えるほどルールとしての練度があがっていきます
遊戯王は難しい難しいと言われますが、検索すれば何かしらヒットするほどの情報過多ならば、それだけで問題は解決できてしまいます
最近のデータベースは関連カードも同時に掲載していますし、わざかばかりではあるものの裁定の理由もみるようになりました
単純な話ですが、総合ルールのように成文化した法律がなくとも、膨大で整理整頓された裁定があるのならば十分に総合ルールに匹敵するものなっていると思います
新たなルールをつくらず裁定だけで十分なこともある
例えば「アストログラフ・マジシャン」というカードは少し面白い動きをするカードとして有名です
このカードは自分のカードが破壊されることで手札から自身を特殊召喚する効果を誘発します
では、自分の場の宝玉獣が破壊されて永続魔法となった場合はどうなるでしょうか?
マジックなどの考えでは破壊されることを条件としているならばどこにあろうと条件を満たすように感じます
しかし、実際には破壊されて墓地にいったり除外されたりエクストラに加わった場合にのみ発動できるため、宝玉獣のようにフィールドにとどまるカードが破壊されても誘発条件には含まれません
これはテキストから読み取れないこのカードの裁定なのですが、仮にこれを総合ルール側でケアしようとするとかなりおかしい記述になると想像できます
何処にそんなルールを加えるのかもわかりませんし、他のルールとの整合性も必要になります
裁定型は必ずしも論理的でなくとも、そうあるだろうという直感や過去の裁定とのかみ合いを重視します
そのためこういった裁定だけが明確になってさえすれば、大本のルールが必ずしも必要とは限りません
ようするにそのカード独自の効果であろうと裁定でしっかり明記されていれば十分にルールとして運用が可能というわけです
「こんな面白いルールがあるんだな」って感じにとらえられるのも、裁定のフレキシブルさが表れています
裁定からルールを理解するというのは楽しい
これは随分とマニアックなことですが、複数の裁定やテキストを読み比べることでその裏に存在するルールを理解しようとする行為は非常に楽しいものがあります
カードの処理でわからないことがあれば、単純なテキストの読み間違いをしていないかを確認し、ジャッジの判断を仰ぎ、そうでなければ公式データベースに類似した裁定がないかを確認しに行きます
仮に完全に同一な回答がなくとも同じ考え方をするとわかれば、その裁定を元に問題を解決することになります
遊戯王のルールは表層的で薄いため、ルールによって一義的に決定できない場面が多くありますが、逆に言えばこの過程の中でどういうルールが根底にあるのかを理解していくことになります
この過程は学習という面でもとても楽しいですし、仕事などでも使える側面があります
裁定型ルールのデメリット
遊戯王の裁定型にはもちろんデメリットがあります
理由や根拠が明確ではない
遊戯王のルールを勉強しようとした多くのプレイヤーが直面するのが、その根拠の薄さです
特に他のカードゲームの総合ルールを理解した人が遊戯王に触れた場合、裁定に明確な根拠がないことに大きな違和感を覚えます
カードゲームは運営がルールからカードまでを作っているわけですから、必ずカードを処理する根本的なるルールが存在するはずです
そのルールが半ばブラックボックスになっていて、表層的な処理がいくつも存在するという状況は、考察班にとっては望ましいものの一般的にはちょっと不思議な状態です
直感に頼りすぎている
判例法主義とはイギリスやアメリカで採用されている法の体系であり、成文化した法律や憲法によらず過去の判例などを頼りに判決を下すことをいいます
これは逆に言うと過去の判例に依存することも多いということです
遊戯王の裁定型ルールはまさにそれであり、例えばスキルドレインやヴェーラーといった無効化カードの過去の裁定はそのまま無効化に関するひな形の扱いになっています
けれど、これらの裁定はマジックのような総合ルールを知っている人からすれば、随分と奇妙なことをしていると思えます
なぜ直接無効にしていないはずの効果までヴェーラーやスキドレが無効にできるかは明確にはなっていません
過去にそう言った裁定があり、それを元に現在の裁定が作られているため、誰もその違和感に気づかずにいます
これは遊戯王の裁定が基本的に直観にそう形で作られている弊害でもあります
直感では無効になると思っていても、論理的にみるとそういった根拠や明確なルールが存在しないのです
だからといって直感に反する裁定を下せば他の裁定との整合性が崩れます
直感的でわかりやすい遊戯王の裁定ですが、実際は基礎が泥に埋まっている状態だったりします
そのあたりの掘下げは別の機会に書こうと思います
コストがかかる
総合ルールは一度方針を決めて作ってしまえば、後はカードやルールを適宜増やすことで補完ができます
しかし裁定型ルールだと随時裁定を掲示しなければなりません
遊戯王のように膨大なカードプールのあるゲームではそのコストが馬鹿にならないことは誰でもわかるでしょう
また、更新頻度が高ければそれだけユーザーが読む文章量は増えていきます
遊戯王脳は慣れているでしょうが、それでも負担なことは変わりありません
多くのカードゲームは総合ルールに加えて各カードごとに簡単なQ&Aを作っていますが、遊戯王ほど膨大ではないためコスト的にはお安めかと思います
遊戯王に特化した遊戯王脳
遊戯王のルール体系は他のカードゲームとは根本から異なるため、他のカードを長くプレイしていると遊戯王のルールやあらゆるノウハウが全然当てはまらないことが多いです
なので遊戯王脳になるまでが大変ですし、遊戯王脳な人は他のゲームと馬が合わないことも多くなります
逆に総合ルールが浸透している現在のカードゲームの多くは、ある程度ルールに共通項が多いのが特徴です
殆どはマジックやデュエマの総合ルールを土台にしたフレームワークを持っているため、互換性とはいえないながらも似た考え方をする頻度は高いと言えます
また、そもそも殆どのカードゲームは遊戯王ほどに膨大で凝ったQ&Aやwikiがありません
なので遊戯王脳な人にとって、他のカードゲームは意外と物足りないと思うことが多いのではないでしょうか?
総合ルールと裁定型ルールのどっちが良いのか
現実的な話をするなら、カードゲームを作るうえで総合ルールは最初に作る方が無難です
特にここ10年のカードゲームは最初から総合ルールを持っていますし、同時に遊戯王の裁定のメリットも熟知しており、Q&Aも充実しています
理由は様々でしょうが、私は総合ルールというひな形を作ったうえで運営したほうがメリットが大きいからだと推測しています
そもそも基本ルールと裁定だけで運用するにはコストがかかりすぎます
遊戯王が特別なだけで、一般的にはあらかじめ厳格なルールを作ってしまった方がはるかにリソースはかかりません
ここ10年でカードゲームの生産数は飛躍的に伸びています
年に数回の発売しかなかったはずが2か月おきに何かしら新作が作られるような状況です
総合ルールの整備は大変ですが、カードごとに膨大な裁定を逐一公開する手法はユーザーの側にも開発の側にも負担です
また、カジュアルなゲームより競技的志向が高まったために、総合ルールによる運営がより顕著になったのかもしれません
というか、既に総合ルールはカードゲーム業界のデファクトスタンダードで、ひな形も整っているのにわざわざ外す理由がおもいううかびません
遊戯王が特殊な理由
遊戯王はかなりレアケースだと思われます
あんなにルールがややこしいといわれながらも、多くのプレイヤーがルールをある程度熟知しているカードゲームはあまりありません
ルール自体に興味を持っているプレイヤーも多いくらいです
恐らくその理由は、遊戯王wikiの存在と運営の努力にあるでしょう
遊戯王wikiは国内wikiや攻略サイトの中でもトップクラスに充実しており、更新頻度も爆速
読み物としても相当レベルが高いと思われます
それだけ遊戯王がこのwikiに支えられてきた文化があり、さらに運営が公式データベースを20年以上かけて研鑽してきたことも大きいはずです
遊戯王はこういったルールや裁定といったものに常に触れられる状態にあったからこそ、現在のような裁定型ルールがきちんと機能しているのでしょう
これが特にファンがあまりいないコンテンツでやったとしても、面倒なルールというだけで嫌われます
ハチャメチャなゲーム性と難解なルールと総合ルールがないことは時に揶揄されますが、積み重ねた歴史は重要です
総合ルールも裁定もどっちも大事
なんだかんだいって遊戯王のことが多くなりました
私は総合ルールも好きですし裁定も大好きです
そしてどちらかに偏ってもあまり良い結果にはならないと思います
マジックは総合ルールが充実している反面、遊戯王ほどにwikiや公式の裁定等にがっつり力が及んでいるわけではありません
本来は総合ルールによって一義的な結果が得られるはずなんです
しかし複雑怪奇になった総合ルールが逆に様々な解釈を生むことにもなっていたりします
そういうのは裁定で穴を埋めなければならないよねって場面は多々あります
逆に遊戯王のように基本ルールが薄っぺらで裁定やwikiが異様な充実度だと、それ自体が総合ルールのような形に定着しています
けれどこれも本来はあるはずのルールの表層をなぞっているだけなので、ルールだと思ったら違ったなんてこともあり得ます
常時開放型の斬魄刀と言われてきたのにそんなものなかった、なんて梯子を外されることだってあります
結局、現代のカードゲームのようにどちらもきちんと整備できればいいんですが、歴史が長すぎるこれらのゲームはちょっと難しいですね
というわけであんまりしまらないですがこの記事を終わりにしようと思います
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