《フレシアの蟲惑魔》に関するまとめ

赤いバラ

今回は《フレシアの蟲惑魔》(以下、フレシア)に着目します。

※「フレシアの蠱惑魔」や「こあくま」での検索が多いのですが正しくは「蟲惑魔(こわくま)」です。

フレシアに3つの効果があります。もっとも重要なのは3番目の「デッキから罠カードを発動する」という効果でしょう。実際にはデッキから罠カードを発動しているわけではなく、その効果をコピーして使っているだけなんですが。

フレシアの蟲惑魔
フレシアの蟲惑魔
地・植物族 ランク4/効果 ATK/300 DEF/2500
レベル4モンスター×2
  • X素材を持ったこのカードは罠カードの効果を受けない。
  • このカードがモンスターゾーンに存在する限り、「フレシアの蟲惑魔」以外の自分フィールドの「蟲惑魔」モンスターは戦闘・効果では破壊されず、相手の効果の対象にならない。
  • 1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、発動条件を満たしている「ホール」通常罠カードまたは「落とし穴」通常罠カード1枚をデッキから墓地へ送って発動できる。この効果は、その罠カード発動時の効果と同じになる。この効果は相手ターンでも発動できる。

フレシアに関する裁定を見ればおおくはわかりますが、ここではその中で重要だと思うものや書かれていないものをいくつか紹介します。

  1. (1)と(2)は共に永続効果である
  2. (3)の効果は誘発即時効果だがダメージステップには発動できない
  3. 罠カードの条件とフレシアの効果発動条件の両方を満たしていないと(3)の効果は使えない
  4. (3)の効果はあくまでもモンスター効果であるため、《王宮のお触れ》の影響を受けない。しかし、《天罰》や《スキルドレイン》によって無効化される
  5. 《奈落の落とし穴》などの破壊するカードをコピーしても、《スターダスト・ドラゴン》によって無効化されない
  6. (3)の効果は対象を取らない効果が、《落とし穴》などをコピーした場合には対象をとる効果となる
  7. コピーできるのは「罠カードの発動時の効果だけ」であって、それ以外の効果の発動はコピーできない

罠カードを受けなかったり破壊されないのはフィールド上だけの話

神の宣告などのフィールド以外に効果を及ぼす罠カードは受けてしまう

フレシアの「X素材を持ったこのカードは罠カードの効果を受けない」と「フレシア以外の蟲惑魔は破壊されず効果の対象にならない」というのは、どちらも永続効果です。

永続効果ということはフィールド上以外では無力ということ。つまり、《神の宣告》によって召喚・特殊召喚を無効にされてしまいます。

同名カードを守れない

また、フレシアによる耐性は同名カードには適用されません。2体のフレシアを並べても戦闘・効果で破壊されてしまいます。

全体破壊を受けるとフレシア以外の蟲惑魔は破壊されない

例えばフレシアと《トリオンの蟲惑魔》がフィールドにいるときに《裁きの龍》の全体破壊効果を受けた場合、トリオンだけがフィールド上に残ります。

【公式裁定】「裁きの龍の効果でSinスターダスト・ドラゴンとフィールド魔法はどちらが破壊されますか?

罠カードとフレシアの両方の発動条件を満たしていなければならない

フレシアの発動条件には『〜発動条件を満たしている「ホール」通常罠カードまたは「落とし穴」通常罠カード1枚をデッキから墓地へ送って』とあります。

手札から罠カードを発動できる《アトラの蟲惑魔》と同様に、フレシアが《落とし穴》の効果を使うならば、相手が「攻撃力1000以上のモンスター1体を召喚・反転召喚した時」にしか発動できません。

つまり、相手がP召喚したときに《落とし穴》をコピーしてフレシアの蟲惑魔の効果を発動することはできないということです。

また、《マクロコスモス》のようにデッキから墓地にカードを送れないという状況ならば、フレシアの発動条件を満たすことはありません。《落とし穴》の条件を満たしている場合でも、フレシア自体の条件が揃っていなければ発動が不可能です。

【公式裁定】「マクロコスモスの適用中に、フレシアの蟲惑魔の効果を発動できますか?

また、後述しますが《狡猾な落とし穴》をコピーした場合には2体のモンスターを対象に取らなければいけません。ですから2体以上のモンスターがいなかったり、効果の対象に取れなかったりする場合には発動条件を満たせません。

二重の落とし穴のようなダメージステップ限定のカードは使えない

二重の落とし穴》は「デュアルモンスターが戦闘で破壊された場合」に発動できるカードです。ダメージステップ限定のカードなのでダメージステップに発動できないフレシアはそれをコピーすることがそもそもできません。

ダメステに発動できれば汎用性はもっと広かったはずですが、さすがにそれはやりすぎでしょう。

罠カードをコピーしてもモンスター効果扱いとなる

罠カードをコピーできるフレシアですが、それはあくまでもモンスター効果です。《奈落の落とし穴》をコピーして発動しても、あくまでもフレシアによるモンスター効果の発動であるため、《スキルドレイン》があるとそれが無効になります。逆に言うと、フレシアのその効果に対して《王宮のお触れ》《魔宮の賄賂》や《神の宣告》などの「罠カードの発動(or効果)を無効にする」という効果は意味が無いということです。

【公式裁定】「フレシアの効果処理時にスキルドレインが適用されている場合、処理はどうなりますか

※フレシアの(1)の効果はX素材がある場合に限られるので、それがなくなればスキドレや天罰を受けてしまいます。

また、《ゴブリン穴埋め部隊》のような「罠カードを発動できない」という効果も回避することができます。

破壊するカードをコピーしても破壊する効果ではない?

おそらくこれが一番よくわからない謎裁定かもしれません。

Question
「フレシアの蟲惑魔」の『(3):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、発動条件を満たしている「ホール」通常罠カードまたは「落とし穴」通常罠カード1枚をデッキから墓地へ送って発動できる。この効果は、その罠カード発動時の効果と同じになる。この効果は相手ターンでも発動できる』効果の発動にチェーンして、「スターダスト・ドラゴン」の『(1):フィールドのカードを破壊する魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、このカードをリリースして発動できる。その発動を無効にし破壊する』効果を発動する事はできますか?
Answer
「フレシアの蟲惑魔」の効果は、フィールドのカードを破壊する効果が発動した扱いではありません。

効果を発動する際にデッキから墓地へ送った『発動条件を満たしている「ホール」通常罠カードまたは「落とし穴」通常罠カード1枚』が「落とし穴」や「奈落の落とし穴」だったとしても、チェーンして「スターダスト・ドラゴン」の効果を発動する事はできません。

「フレシアの蟲惑魔」の効果の発動にチェーンして「スターダスト・ドラゴン」の効果を発動できますか?

奈落の落とし穴はフィールド上のカードを破壊するカードですから、《スターダスト・ドラゴン》によって無効化できます。

でも、フレシアが奈落をコピーした場合にはそれができません。対象をとるかどうかにかかわらず、です。

つまり、フレシアの効果は「デッキのホールor落とし穴通常罠の効果をコピーして発動する効果」としてしか発動していないということです。そのコピーした罠の効果が破壊を含んでいても、破壊するモンスター効果には当てはまらないということです。

これは同様に《スターライト・ロード》の発動もできないということです。

コピーするカードによって対象を取ったり取らなかったりする

そもそもフレシアの効果は対象を取りません。しかし狡猾な落とし穴》のような対象をとる落とし穴カードをコピーして発動した場合には必ずフィールド上のモンスター2体を対象にしなければいけません。

対照的に《奈落の落とし穴》や《蟲惑の落とし穴》のように対照をとらないカードの場合には、そのまま対象をとらない効果として発動します。

細かいことですが、「対象を取れない」という耐性持ちのあるカードがある場合には注意しなければいけませんね。

罠カードの効果の発動はコピーできない

これは《時空混沌渦(タキオン・カオス・ホール)》のような存在すら忘れられている限定されてカードにだけ当てはまります。

このカードも「ホール」通常罠なのですが、墓地に存在するときにそれを除外して「ギャラクシーXモンスターを墓地から特殊召喚できる」という第2の効果を持っています。

では、その2番目の効果をフレシアが使うことはできるのかというと、それは不可能です。

フレシアの発動条件をよく読むとわかりますが「この効果は、その罠カード発動時の効果と同じになる」とあります。つまり罠カードの「カードの発動時の効果」だけしかコピーできないのです。

タキオンカオスホールの除外して発動するのは、効果の発動であってカードの発動には当てはまりません。ですから、1番目の効果を使うことはできても、2番目の効果をフレシアが使うことはできないのです。

最後に

フレシアの最大の特徴である「デッキから罠カードを発動する」という効果は非常に強力ですが、そもそもデッキに複数種の落とし穴系罠を積まないといけないため、あらゆるデッキで使えるわけではありません。

トリオンと奈落を採用しているのならば充分に採用圏かもしれません。ただ、これを立たせておくだけで奈落や蟲惑がどこからでも飛んでくるという不安を与えられるのはけっこう重要です。それこそ《トラップスタン》などと併用してみるのもいいかもしれません。